【美術】特別展「生誕270年 長沢芦雪」大阪中之島美術館

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生誕270年 長沢芦雪
生誕270年 長沢芦雪

大阪中之島美術館で開催中の特別展の感想です。
子犬が人気の長沢芦雪ながさわろせつです。

秋以降は気になる展覧会が目白押しです。
とりあえず、近日開催の下記は行く予定です。
・テート美術館展(10/26~)
・女性画家たちの大阪(12/23~)

概要

展覧会について

展覧会期間
[特別展]
生誕270年 長沢芦雪
ー奇想の旅、天才絵師の全貌ー
2023/10/07 ~ 2023/12/03
 前期:10/07~11/05
 後期:11/07~12/03
  後期前半:11/07~11/19
  後期後半:11/21~12/03
大阪中之島美術館

「奇想の系譜」の一人としても有名な長沢芦雪(1754-1799)の大規模な展覧会です。
代表作と初公開を含めて116点が前期後期に分けて展示されます。
通期で展示されるのは5点のみです。

・「奇想の系譜」(1970年刊行)
美術史家の辻惟雄つじのぶおによる美術書。
江戸時代の個性的な画家を紹介し、再評価するきっかけとなった。

<紹介された画家>
岩佐又兵衛いわさまたべえ狩野山雪かのうさんせつ伊藤若冲いとうじゃくちゅう曾我簫白そがしょうはく長沢芦雪ながさわろせつ歌川国芳うたがわくによし

会場では「牛図」(後期)の垂れ幕がお出迎え。
また入口前には撮影スポットが用意されています。

垂れ幕
垂れ幕
唐子遊図屏風/牛図/花鳥遊魚図巻
唐子遊図屏風/牛図/
花鳥遊魚図巻
降雪狗児図/群猿図
降雪狗児図/群猿図
入口(終了後の12/09)
入口(終了後の12/09)
構成

・1章 円山応挙に学ぶ
・2章 紀南での揮毫きごう
3章 より新しく、より自由に
・4章 同時代の天才画家たち

※大阪展の展示順は1⇒2⇒4⇒3


下記Noは欠番となっており、大阪会場では展示なし
No.56、94、107、108、109
※117以降は不明
※福岡会場の欠番は不明

前期、後期とは異なる期間の展示替え作品。

No作家名作品名期間備考
11長沢芦雪具美人図18世紀11/21~12/03前期から後期前半
13円山応挙幽霊図18世紀11/07~11/19後期前半のみ
14長沢芦雪幽霊図18世紀11/07~11/19後期前半のみ
24長沢芦雪人物鳥獣画巻18世紀10/07~11/19後期前半のみ
112伊藤若冲旭日松鶴図1755~5611/07~11/19後期前半のみ
11長沢芦雪吾美人図18世紀11/21~12/03後期後半のみ

福岡会場のリストはまだ出てませんが、下記の3点は福岡のみで展示があるようです。
欠番から察するにあと2作品はあるはず。

作家名作品名期間備考
円山応挙雨竹風竹図屏風京都 圓光寺蔵
与謝蕪村蘇鉄図屏風香川 妙法寺蔵
池大雅蘭亭曲水・龍山勝会図屏風静岡県立美術館蔵

[2024/01/28 追記]
リスト出てました。
全64点で、前期後期の展示替えありです。
大阪よりも数は選りすぐられてますが、主要な作品は一通り展示されていそうです。

リンク先「チケット購入情報・出品目録」参照

グッズ(クッキー&マシュマロ)

缶が欲しくて「クッキー&マシュマロ」を買ってしまった。
筆ペンも入りそうな長さだったので、筆箱にします。
使用されている絵は「花鳥遊魚図巻かちょうゆうぎょずかん」(後期)です。

阪神タイガースとのコラボ品も売ってました。
日本シリーズも決まって、いいタイミングですね。
日本一になったら手ぬぐいでも買おうかな。

※「菊花子犬図」の出品無し

先日(10/14)の「美の巨人たち」で紹介されていた「菊花子犬図」(個人蔵)の出品はありません。

山種美術館(東京)で12/2~2/4に開催される「癒やしの日本美術」で展示予定です。

※「白象黒牛図屏風」の出品無し

フェリシモで売られている芦雪犬の元絵「白象黒牛図屏風はくぞうこくぎゅうずびょうぶ」の出品はありません。

若冲のコレクターとして有名なジョー・プライス氏の所蔵品です。
仙台市博物館に高精細複製品はあるようです。

巡回展

期間美術館都道府県YouTube
2023/07/15~2023/09/10大阪中之島美術館大阪
2023/09/23~2023/11/12九州国立博物館福岡

<オススメの展覧会>

期間美術館都道府県備考
2023/10/18~2024/01/08福田美術館
「ゼロからわかる江戸絵画」
京都長沢芦雪「親子犬図」
(前期:~12/4)
2023/12/02~2024/02/04山種美術館
「癒やしの日本美術」
東京長沢芦雪 「菊花子犬図」

感想

長沢芦雪の色んな作品が見れて良かったです。
動物の絵が多いのも魅力の一つですね。
元々、芦雪は水墨画が多いので、全体的にモノトーンの作品が多かったです。

芦雪以外にも師匠である円山応挙、第4章では伊藤若冲曽我蕭白などのビッグネームの作品も見れるので、日本画好きには必見の展覧会でした。

大幅な展示替えがあるのが悩ましいです。
チラシや公式サイトから展示期間ごとの目玉作品を考えてみます。

No作家名作品名期間
47/48長沢芦雪虎図襖/龍図襖前期
64長沢芦雪牛図後期
66長沢芦雪仔犬図屏風後期
85長沢芦雪花鳥遊魚図巻後期
101長沢芦雪群猿図襖後期
116伊藤若冲象と鯨図屏風後期

「虎図襖/龍図襖」は芦雪の代表作ですが、芦雪の展覧会では割と定番ですね。
「虎図襖/龍図襖」を見たことがあるなら、後期の方がお勧めです。

子犬に注目するなら、後期の「仔犬図屏風」、「花鳥遊魚図巻」は「菊花子犬図」と似た内容で、胸キュンの子犬が集まっています。
「人物鳥獣画巻」(~11/19)の子犬も良かったので、後期の中で期間を選ぶなら11/07~11/19が良いかな。


[2023/11/18 追記]
後期を見てきました。
似た画題もありますが、前期には無かった作品も見れて満足です。

以下に印象に残ったものを書いていきます。


長沢芦鳳/加藤頴泉|長沢芦雪像【落書】

No作家名作品名期間備考
1長沢芦鳳   ろほう長沢芦雪像19世紀前期1章 円山応挙に学ぶ
2加藤頴泉長沢芦雪像19~20世紀後期1章 円山応挙に学ぶ
長沢芦雪像
長沢芦鳳 長沢芦雪像(芙蓉と芦雪)
制作情報(前期)(※以降の落書きも共通)

[道具]
・鉛筆
・色鉛筆
・ノート(リングノート)

[制作日]
2023年10月21日 落書き/彩色

<長沢芦鳳>

描表装かきびょうそうになっていて、表装には様々な花が描かれています。
死後に描かれたものなので、花を供えたのかも。
右上には芙蓉があり、あとは梅や、蓮など季節は色々でした。

芦雪が亡くなったのが1799年だから、直接会ってはいませんね。
人や書物から特徴を見聞きして描いたんでしょう。

長沢芦鳳   ろほう(1804-1871)
父の長沢芦洲    ろしゅうが芦雪の弟子であり養子の為、芦雪の孫になる。


<加藤頴泉>

加藤頴泉 長沢芦雪像
加藤頴泉 長沢芦雪像
制作情報(後期)(※以降の落書きも共通)

[道具]
・鉛筆
・色鉛筆
・ノート(リングノート)

[制作日]
2023年11月18日 落書き/彩色

No.1の模写らしいですが、あまり正確な模写ではなかったです。
一目見て、こんな目をしてたか?と思ってしまった。
描いたから印象に残っているのです。

・加藤頴泉
加藤修。詳細は不明だが肖像画の摸本が多く見られる。
展示品とは別で、京都公立博物館にも芦雪の肖像画があるようです。

長沢芦雪|蛇図/関羽図/猛虎図

No作家名作品名期間備考
3長沢芦雪蛇図18世紀前期1章 円山応挙に学ぶ
6長沢芦雪関羽図18世紀前期1章 円山応挙に学ぶ
8長沢芦雪猛虎図18世紀前期1章 円山応挙に学ぶ

最初の展示品はかなり若い頃の作品です。

そう言われて見ると、「関羽図」は衣文の描き方に面白味は感じるものの、変な感じもします。
個性を出そうと模作している所かな。
「猛虎図」も尻が地についていない感じがします。

円山応挙|仔犬図【落書】

No作家名作品名期間備考
27円山応挙仔犬図1787前期1章 円山応挙に学ぶ
仔犬図
仔犬図

応挙の子犬です。

芦雪が描く可愛いい子犬との一番の違いはですね。
応挙の「仔犬図」の目は黒目の瞳孔を描いています。
芦雪も瞳孔を描くタイプの犬はありますが、可愛いと言われている犬は黒目は黒のみで描いています。

瞳孔を入れる方がリアルに近くなりますが、微妙なリアル感なので違和感を感じたりします。
黒のみの目だとイラストっぽくて可愛く見えます
当時の人は同じ感覚ではないと思うので、現代人だから感じる可愛さもあると思います。

瞳孔の有無
瞳孔の有無

長沢芦雪|梅花双狗図【落書】

No作家名作品名期間備考
28長沢芦雪梅花双狗図18世紀後期1章 円山応挙に学ぶ
梅花双狗図
梅花双狗図

前期に見たNo.29と同じポーズの犬でした。

長沢芦雪|人物鳥獣画巻【落書】

No作家名作品名期間備考
24長沢芦雪人物鳥獣画巻18世紀前期
後期前半
1章 円山応挙に学ぶ
人物鳥獣画巻
人物鳥獣画巻

イタチ(?)が可愛い
漫画やアニメのキャラクターみたい。
やっぱり、黒目は黒のみです。

仔犬の集まりもありました。

長沢芦雪|布袋・雀・犬図【落書】

No作家名作品名期間備考
37長沢芦雪布袋・雀・犬図18世紀前期1章 円山応挙に学ぶ

丸っこくてモフモフ。
黒目は黒のみです。

長沢芦雪|岩上猿・唐子遊図屏風【落書】

No作家名作品名期間備考
29長沢芦雪岩上猿・唐子遊図屏風がんじょうさる・からこあそびずびょうぶ18世紀前期2章 紀南での揮毫

ユーモアのあるポーズ。
目は瞳孔を描くタイプです。
うーん、やはり・・・。

左隻の唐子と犬はモノトーンですが、右隻の黒い岩に茂る葉の赤や緑が印象的です。

長沢芦雪|花鳥図屏風【落書】

No作家名作品名期間備考
23長沢芦雪花鳥図屏風18世紀後期2章 紀南での揮毫
花鳥図屏風
花鳥図屏風(左隻)

左隻には燕やつくし等の春夏のものが描かれています。
燕って花鳥画であまり見ないきがする。
気付かなかっただけかな?

長沢芦雪|童子・雀・猫図【落書】

No作家名作品名期間備考
49長沢芦雪童子・雀・猫図18世紀後期2章 紀南での揮毫

目が虎と一緒です。
耳が大きいので、アビシニアンみたい。

長沢芦雪|降雪狗児図【落書】

No作家名作品名期間備考
88長沢芦雪降雪狗児図18世紀後期2章 紀南での揮毫
降雪狗児図
降雪狗児図

白い身体は胡粉をかなり濃い目に塗っています。
背景を全体的に塗ってから描いたのかな?

長沢芦雪|龍図襖/虎図襖(無量寺)

No作家名作品名期間備考
47長沢芦雪龍図襖1786前期2章 紀南での揮毫
48長沢芦雪虎図襖1786前期2章 紀南での揮毫

芦雪の代表作でもあり、展覧会の目玉の一つ。

耽々と睨みをきかせる虎と、雷の中を泳ぐ龍は迫力があります。
「静」「動」の対比にもなっていそうです。

長沢芦雪|龍図襖(西光寺)

No作家名作品名期間備考
33長沢芦雪龍図襖
西側:雲龍図 東側:昇龍図
18世紀後期2章 紀南での揮毫

雲龍図は定番の構図で雲間から龍の顔や体が見える絵ですが、昇龍図は龍の全身が描けれていて珍しい構図です。
昇っている所では無く、天に昇った所でしょうか。

長沢芦雪|岩浪群鳥図襖【落書】

No作家名作品名期間備考
70長沢芦雪岩浪群鳥図襖18世紀前期2章 紀南での揮毫

鳥の身体の描き方が独特です。
塗り潰すわけでもなく、輪切りのようになってます。

漫画的に見ると、ブルブルッと体を震わせているようにも見えます。

長沢芦雪|朝顔に蛙図襖【落書】

No作家名作品名期間備考
53長沢芦雪朝顔に蛙図襖1787年前期2章 紀南での揮毫

襖4枚分に朝顔がアーチ状に描かれています。
4枚目の下に蛙が2匹いて、6枚目は三日月が薄っすらと出ています。

朝顔の下の空間が大胆ですね。
人が座っていたら丁度、人の上を朝顔が覆うように見えそうです。

長沢芦雪|蓬莱山図【落書】

No作家名作品名期間備考
78長沢芦雪蓬莱山図ほうらいさんず1794前期2章 紀南での揮毫

右下に亀がいたので、どこかに鶴がいるかと思って探してみると、右上にいました。
平べったすぎて気付かなかった

長沢芦雪|群猿図【落書】

No作家名作品名期間備考
101長沢芦雪群猿図1795後期2章 紀南での揮毫

コミカルな表情が面白いです。
新聞の4コマにありそう。

2回描いてみたけど、上手くいかず。
帰ってから再挑戦しました。

曽我蕭白|鷹図押絵貼屏風【落書】

No作家名作品名期間備考
115曽我蕭白鷹図押絵貼屏風たかずおしえばりびょうぶ1758-61前期4章 同時代の天才画家たち

モノトーンですが、鷹の表面の模様が細かく描かれていて、見応えがあます。
流石は曽我蕭白。

左隻の水に映る鷹と、右隻の月夜にシルエットだけ描かれた鷹が印象的でした。

伊藤若冲|桃花双鶏図【落書】/旭日松鶴図

No作家名作品名期間備考
113伊藤若冲桃花双鶏図18世紀前期4章 同時代の天才画家たち
112伊藤若冲旭日松鶴図1755~56後期4章 同時代の天才画家たち

<桃花双鶏図>

桃花双鶏図
桃花双鶏図

エリマキトカゲみたいな鶏。


<旭日松鶴図>

鶴、松、梅が描かれていて、表装には福と壽(寿)があしらわれた非常におめでたい掛軸です。
お正月に飾りたいですね

長沢芦雪|陶淵明図【落書】

No作家名作品名期間備考
99長沢芦雪陶淵明図とうえんめいず18世紀前期3章 より新しく、より自由に
陶淵明図
陶淵明図

ギャグマンガみたいな顔。

陶淵明とうえんめい(365-427)
六朝時代の詩人。
官職に就いていたが、辞めて帰郷する。
その後は隠遁生活を送り、酒、自然を愛し、超俗の詩人、田園詩人などと呼ばれる。

長沢芦雪|花鳥遊魚図巻【落書】/仔犬図屏風

No作家名作品名期間備考
85長沢芦雪花鳥遊魚図巻18世紀後期3章 より新しく、より自由に
66長沢芦雪仔犬図屏風18世紀後期3章 より新しく、より自由に

<花鳥遊魚図巻>

花鳥遊魚図巻
花鳥遊魚図巻

グッズ(クッキー&マシュマロ)に使われた画です。
グッズには使われていない部分ですが、お尻丸出しの黒い仔犬も可愛い。


<仔犬図屏風>

後期の中では可愛い仔犬画の代表の一つ。
お腹を出して笑い転げている(ように見える)仔犬が可愛い。

円山四条派合作|亀図屏風

No作家名作品名期間備考
63円山四条派合作亀図屏風18世紀後期3章 より新しく、より自由に

どれも同じ亀ですが、甲羅の線を見ても描き方に違いがあることがわかります。

芦雪の亀だけ陸から周りを見下ろしているようです。
芦雪らしいと言った所か・・・。

長沢芦雪|鼠大根図

No作家名作品名期間備考
93長沢芦雪鼠大根図18世紀後期3章 より新しく、より自由に

鼠の毛並みが柔らかそう。
森狙仙の猿に負けてないかも。

森狙仙もりそせん(1747-1821)
大坂を中心に活躍した絵師。
森派の祖。
猿の画の名手で、「猿描き狙仙」とも言う。

芦雪が1754-1799なので、同時期ですね。
場所も上方なので、全く知らない、ということは無さそう。

長沢芦雪|月竹図

No作家名作品名期間備考
55長沢芦雪月竹図18世紀後期3章 より新しく、より自由に

155.8×11.3cmの超縦長の掛け軸。
竹を下から上に見ると、ぼんやり月が浮かんでいるのが良いですね。

浮世絵に「柱絵」という細長いものがあります。
浮世絵の影響を受けてるかもしれませんね。

柱絵はしらえ
奥村政信による発案と言われている。
江戸時代に3回ブームがあった。
①元文(1736-1741) 奥村政信など
②宝暦-明和(1751-1772) 鈴木春信など
③天明(1781-1789) 鳥居清長など

長沢芦雪|牛図

No作家名作品名期間備考
55長沢芦雪牛図18世紀後期3章 より新しく、より自由に

黒い身体に青い目が印象的です。
表装には梅が描かれていて、牛と梅の組み合わせは天神様を思い浮かべます。
表装は後付けかな?


以上

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