神戸で開催されている日展の感想です。
神戸ゆかりの美術館/神戸ファッション美術館(同じ建物内)で開催されています。
日展(第9回 神戸展) | 2022 |
日展(第10回 神戸展) | 2023 |
概要
展覧会 | 期間 |
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[特別展] 日展(第9回 神戸展) | 2023/02/18 ~ 2023/03/26 |
毎年開催されている現在の作家の公募展で、国内では最大規模です。
関東、関西を中心に全国数か所で巡回もしています。
現代芸術のような抽象的な作品は少なく、基本的には綺麗な作品が多いです。
(工芸は一部現代的な作風もあります。)
現在の大きな美術団体がどういう作品を扱っているのか知るのには最適な展覧会です。
・日展
日本美術展覧会の略。
日本画・洋画・彫刻・工芸美術・書の五部門で開催される日本最大の総合美術展覧会。
元は文部省主催の「官展」として開催されていたが、1958年から民間開催となる。
不正審査問題があり、2014年から再スタートしているので今年が第9回となる。
年 | 内容 |
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1907 | 第1回文展(文部省美術展覧会) ⇒1918の第12回まで開催 |
1919 | 第1回帝展(帝国美術展覧会) ⇒1934の第15回まで開催 |
1935 | 開催無し ※「松田改組」という体制改革があり、大揉め |
1936 | 【春】改組第1回帝展 【秋】昭和11年文展 |
1937 | 第1回新文展(新文部省美術展覧会) ※1940は「紀元2600年奉祝展」として開催 ⇒1943の第6回まで開催 |
1944 | 戦時特別展 |
1945 | 開催無し |
1946 | 第1回日展(日本美術展覧会) ⇒1957の第13回まで開催 |
1958 | 第1回日展(日本美術展覧会) ※民営化後 ⇒1968の第11回まで開催 |
1969 | 改組第1回日展 ※役員変更に伴い改名/2回目以降は「改組」を無くす ⇒2013の第45回まで開催 |
2014 | 改組 新 第1回日展(改組新日本美術展覧会) ※不正審査問題により改名 |
神戸展では総数534点が展示されています。
地元入選作品が多く含まれるので、内容は開催場所によって変わります。
神戸は兵庫、大阪、奈良、和歌山が地元に含まれています。
殆どの作品で写真撮影が可能でした。
撮影禁止マークがある作品もあるので、撮る時は注意が必要です。
巡回展
期間 | 美術館 | 都道府県 |
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2022/11/04〜2022/11/27 | 国立新美術館 | 東京 |
2022/12/24~2023/01/20 | 京都市京セラ美術館 | 京都 |
2023/01/25~2023/02/12 | 愛知県美術館ギャラリー | 愛知 |
2023/02/18~2023/03/26 | 神戸ゆかりの美術館 神戸ファッション美術館 | 兵庫 |
2023/04/21~2023/05/07 | 富山県民会館美術館 | 富山 |
感想
コロナ以降行ってなかったので数年振りの日展です。
ボリュームがあるので見応えあります。
絵が好きなので、絵を中心に見てます。
工芸はまぁ楽しめるんですが、書は難しいです。
洋画コーナーは途中2段で展示されていました。
日本では絵画を上の方に展示されることがあまり無いのでインパクトありました。絵の壁状態です。
鑑賞の点で言うと、照明が反射して見にくいことも多少ありました。
個人的には日本画は掛け軸や屏風みたいなものも見たいです。
素人目には洋画との区別があまり無いんです。
画材が違うので、色の透明感や質感は違うのですが、日本画と言うとやはり伝統的な形式のイメージが強いです。
まぁ、取り扱いの数が増えると審査や展示が大変だとは思います。
以下に印象に残ったものを書いていきます。
林真|行方
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 林真 | 行方 | 2022 | ー | 日本画 |
最初の作品は色使いが印象的です。
元々、マンドリルの顔は目立ちますが、周りを白黒にしてより際立っています。
そして、マンドリルが見つめる先の人の行方は非常口というのが、少し不穏な感じもしますね。
福本百恵|赫赫
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 福本百恵 | 赫赫 | 2022 | ー | 日本画 |
2つ目の作品は鮮やかさが印象的です。
洋画も含めて一番鮮やかかもしれません。
新生堂のギャラリーで取り扱っている作家さんのようで他の作品も見れます。
間瀬静江|童子変容―環り来たる豊穣の季節への祝福―【落書】
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 間瀬静江 | 童子変容―環り来たる豊穣の季節への祝福― | 2022 | ー | 日本画 |
金箔地で秋の食べ物が描かれています。
金色も豊穣という内容に合ってますね。
「童子変容」というテーマで描かれているようで、去年も出展されていました。
新川美湖|過ぎゆく季節
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 新川美湖 | 過ぎゆく季節 | 2022 | ー | 日本画 |
白黒ですが写真のように綺麗でした。
水墨画もあまり無いので、印象的でした。
間近で見ても綺麗です。
中央で切れ目があるので、屏風仕立ても想定されていそうです。
池内璋美|秋色
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 池内璋美 | 秋色 | 2022 | ー | 日本画 |
一面の彼岸花が迫力あります。
西田眞人|万治の石仏
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 西田眞人 | 万治の石仏 | 2022 | ー | 日本画 |
見たことあると思ったら、諏訪大社の近くにある仏像でした。
3周するとご利益があるので、皆さん周っていました。
村居正之|黎明
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 村居正之 | 黎明 | 2022 | ー | 日本画 |
平山郁夫氏の作品を彷彿させる画題ですね。
群青の研究をされているようで、同種の作品も沢山描かれているようです。
彷彿させた平山郁夫氏の作品の例は下記です。
青木秀明|猟豹図―命が宿る樹―
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 青木秀明 | 猟豹図―命が宿る樹― | 2022 | ー | 日本画 |
木の表面が螺鈿のような色で塗られていました。
熱田守|Birds(3)
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 熱田守 | Birds(3) | 2022 | ー | 日本画 |
ハシビロコウはインパクトありますね。
なんか見たことあると思ったら書店で見かけた「シャングリラ・フロンティア」でした。
これを機に読んでみようかな。
西野千惠子|よりそう
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 西野千惠子 | よりそう | 2022 | ー | 日本画 |
一見、普通の象かと思いきや、近くで見ると細かい模様が描かれています。
こういうのも面白いですね。
池田清明|バラを描く
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 池田清明 | バラを描く | 2022 | ー | 洋画 |
洋画で日本画の制作風景です。
水の透明感や絵皿の艶は油絵が合いますね。
成田禎介|白い山と高原
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 成田禎介 | 白い山と高原 | 2022 | ー | 洋画 |
たぶん毎年出展されている作家さんです。
森の木々が細かくて綺麗なんです。
西房浩二|Estaing
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 西房浩二 | Estaing | 2022 | ー | 洋画 |
写実的な絵です。
日展でここまで写実的な絵は初めて見た気がします。
Estaing(エスタン)はフランスの村です。
西岡陽子|猫のいる日
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 西岡陽子 | 猫のいる日 | 2022 | ー | 洋画 |
猫が昼寝中ののどかな風景です。
土井原崇浩|夢【落書】
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 土井原崇浩 | 夢 | 2022 | ー | 洋画 |
絵は夢の中ということで、不思議な内容ですが、写実的で綺麗です。
猫が可愛かったので描いてみました。
宮瀬富之|風薫る菜の花畑でのコンサート
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 宮瀬富之 | 風薫る菜の花畑でのコンサート | 2022 | ー | 彫刻 |
人物が中心になることが多いので、ピアノが目立っているのが珍しいと感じました。
浅井啓介|黒の円相 (2022)
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 浅井啓介 | 黒の円相 (2022) | 2022 | ー | 工芸美術 |
円相ということでうっすら円が見えます。
漆の塗り方に微妙な違いがありそうですね。
左右には螺鈿などで色んな模様が描かれており、黒漆のみかと思いきや漆芸の粋が集まってます。
見過ごしてる人もいるかも。
松浦青娥|銀河鉄道の夜より
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 松浦青娥 | 銀河鉄道の夜より | 2022 | ー | 書 |
書はよくわからないので、聞いたことありそうな内容を一つだけ上げておきます。
河原の礫は、みんなすきとほって、たしかに水晶や黄玉や、またくしゃくしゃの皺曲をあらはしたのや、また稜から霧のやうな青白い光を出す鋼玉やらでした。
出典:青空文庫「宮沢賢治 銀河鉄道の夜」
以上
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