東京藝術大学大学美術館で開催中の特別展です。
吉原に関連した浮世絵や資料が展示されています。
展示に関して批判もあったようです。
確かに「ワンダーランド」と言う文言を使ったのは軽率でしたね。
知識があるわけではないので遊郭自体の良し悪しの評価は難しいですが、「無い方が理想だろうけど、仕方ない部分もあった。」という感覚です。
貧しい農村の家では子を売らざるを得ない場合もあったと思うので、飢えて死ぬか、遊郭に行くかの選択を迫られる場面もあったと思います。
浮世絵には遊女が頻繁に出てくるので、見慣れ過ぎて自分の感覚は麻痺してるかも。
概要
展覧会 | 期間 | YouTube |
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[特別展] 大吉原展 | 2024/03/26 ~ 2024/05/19 前期:03/26~04/21 後期:04/23~05/19 | ■ |
絵としては浮世絵がメインで、明治時代位までの浮世絵と日本画が多くて、高橋由一の洋画と大正時代の写真も展示されています。
樋口一葉の「たけくらべ」も吉原を舞台にしているので、関連するものが展示されています。
あと、解説だけですが、広津柳浪「今戸心中」、泉鏡花「註文帳」も吉原の末期の様子を描いた作品として紹介されていました。
泉鏡花は何作か読んだことがありますが、「註文帳」は未読ですね。
広津柳浪は知りませんでした。
青空文庫でも見れるので、今度読んでみます。
・広津柳浪(1861-1928)
⇒「今戸心中」(青空文庫)
・泉鏡花(1873-1939)
⇒「註文帳」(青空文庫)
■略歴
年 | 内容 |
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1618 | ・葦屋町に遊郭開業(現在の日本橋) ・「葭原」と称す |
1626 | 「葭原」を「吉原」と改める |
1657 | 1月 明暦の大火 8月 「新吉原」営業開始 (現在の浅草北側、元々の方は「元吉原」) |
1872 | 芸娼妓解放令 |
1875 | 「遊女屋」は「貸座敷」へ |
1911 | 吉原大火 |
1946 | ・公娼制度廃止により民営化 ・「赤線」と呼ばれるようになる |
1951 | トルコ風呂が登場 後に吉原=トルコのイメージ |
1958 | ・売春防止法 ・「赤線」から「下宿屋」「トルコ風呂」などへ 後に吉原=トルコのイメージとなる |
1983 | トルコ大使館のクレームにより、 「トルコ風呂」は「ソープランド」へ |
巡回展
・なし
感想
浮世絵自体はよく見るのですが、吉原自体には今まで注目して見ていませんでした。
改めて知る良い機会でした。
喜多川歌麿|金剛力士(仁王)立像(吽形)
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 喜多川歌麿 | 青楼十二時 続 卯の時 巳の刻 午の刻 未の刻 酉の刻 亥の刻 子の刻 丑の刻 | 1794 | 後期 通期 後期 通期 通期 後期 通期 通期 | 1-1 |
吉原での時間毎のスケジュールを絵で見れるので、興味深い。
明け六つ(朝6時)からくれ暁七ツ(朝4時)までの様子です。
巳の刻では湯上りの遊女が描かれています。
毎月27日が「髪洗い日」だったようです。
蔦屋重三郎|吉原細見記
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 蔦屋重三郎 | 吉原細見記 | 1797 | 後期 | 2-2 |
吉原細見は吉原の案内書で、何度も刊行されている中の蔦屋版です。
江戸時代の版元として有名な蔦屋重三郎。
吉原の生まれで、養子先の喜多川氏の屋号が「蔦屋」(茶店)だったそうです。
吉原大門の近くで書店をやっていたようです。
歌川豊春|吉原遊女図
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 画:歌川豊春 賛:谷文晁 | 吉原遊女図 | 1781~1801 | 後期 | 2-4 |
孔雀のデザインをした着物が格好いい。
賛は「闇の夜は よし原ばかり 月夜かな」で、宝井其角の俳句です。
芭蕉の門下で、蕉門十哲の一人に数えられます。
歌川国貞|芝居町 新吉原 風俗絵鑑
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 歌川国貞 | 芝居町 新吉原 風俗絵鑑 「部屋(妓楼内)」 「引け四ツ」 「大門前(廓の雨)」 | 19世紀 | 通期 (場面替え) | 2-4 |
「引け四ツ」が気になります。
海老を食べる猫、紙をやぶく女、転倒しているコブのある客、色んなドラマがありますね。
北尾政演|古今狂歌袋/鈴木其一|紅叢紫籙
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 画:北尾政演 編:宿屋飯盛 | 古今狂歌袋 | 1787 | 通期 | 2-5 |
– | 画:鈴木其一 撰:黒河春村 | 紅叢紫籙 | 1835 | 通期 | 2-5 |
右:もとの木網、左:尻焼猿人のページが展示されていました。
尻焼猿人は酒井抱一の狂歌のペンネームです。
面白い名前を付けるのは狂歌らしい感じがします。
高橋由一|花魁
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 高橋由一 | 花魁 | 1872 | 通期 | 2-6 |
高橋由一の代表作の一つです。
日本一有名な花魁かも
喜多川歌麿|吉原俄 荻江松蔵 いと 峰
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 喜多川歌麿 | 吉原俄 荻江松蔵 いと 峰 | 1789-1801 | 通期 | 3-6 |
胡蝶の飾りが印象的でした。
大阪の四天王寺でも舞楽の衣装に使われました。
踊りには定番かもしれません。
下から荻江松蔵、いと、峰の3名が描かれています。
扇子、提灯、袖に名前が書いてありますね。
「荻江」は荻江節という長唄の芸者の姓です。
吉原の座敷芸としても人気があったようです。
歌川広重|名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 歌川広重 | 名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣 | 1857 | 通期 | 3-7 |
広重の代表作の一つです。
猫に注目がいきがちですが、遊郭からの眺めだったんですね。
窓の外は浅草の鷲神社の酉の市で賑わっています。
部屋に置いてるのは土産の熊手型の簪です。
辻村寿三郎 /三浦宏/服部一郎|江戸風俗人形
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 辻村寿三郎 (人形師) 三浦宏(檜細工師) 服部一郎(江戸小物細工師) | 江戸風俗人形 | 1981 | 通期 | 3-7 |
文化・文政(1804-1830)頃の大見世です。
創作当時は「吉原」という作品名だったようです。
細かい所までよく作られています。
・大見世、中見世、小見世
妓楼の格式で、大見世が一番高い。
妓楼の構造はほぼ同じ。
・河岸見世
遊郭はお歯黒どぶと呼ばれる溝に囲まれており、どぶにそって建てられていた格の低い妓楼。
・切見世(局見世)
河岸見世の中でも最下級の見世。
以上
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