【書籍】上野行一著「私の中の自由な美術」|鑑賞方法と自由の解釈について考えさせられる良書

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何かのメディアで紹介されていたことがきっかけで読みました。
著者の上野行一氏は教育学者で、教育的な視点で書かれているのが興味深い内容になっています。

知識に偏るのではなく、想像力や感性による鑑賞を考えさせられる本です。
子供達への教育がメインですが、美術館に行ってる人には自分の鑑賞の仕方を改めて考えるいい機会になります。
行ったことない人には美術のことを知らなくても大丈夫、という後押しになります。

考察

鑑賞は自由

自由

タイトルの通り、美術は自由に見ればいいという考えを解説されています。

知識に偏った見方に対する警鐘の意味もあります。
先入観を持たず、自由に感じれば良いということです。

本書とは関係ないですが、上記の見方の問題以外にも知的で高尚なイメージを持ってしまうと、初心者には敷居が高くなります。
知識はあってもなくても、どっちでもいいです。

美術鑑賞は気に入った作品を楽しむ、それだけでいいのです。

ナツメ
ナツメ

ピカソやゴッホを無理に好きになる必要はありません。

全ての鑑賞が対象ではない

子供達への教育

本書の内容は子供達へ教育が中心になっており、感覚的な見方を重要としています。

自分は教育者ではないのですが、読んでると自分が鑑賞する場合でイメージしてしまいます。
教育側とそうでない人で印象が変わるかもしれません。

自分の鑑賞に対してとなると、本書の内容とは合わない点も出てきます。

  • 教育内容は?・・・想像力?発想力?知識?
  • 教育相手は?・・・子供?大人?
  • どんな作品?・・・現代芸術?宗教画?
  • 鑑賞目的は?・・・教育?娯楽?

 本書:子供へ想像力を通して教育する目的。
    ⇒作品は意味を問わず何でもいい。
 自分:知的好奇心を満たす娯楽としての目的。
    ⇒意味のある作品がいい。

色んな美術館で色んな作品を見に行く自分にとって、全ての作品を自由な感覚で見たいか、と言われたらそんなことはありません。

宗教画や肖像画のような意味のある作品を見て、どういうストーリーか、どういう人物か興味を持つのは当たり前のことです。

逆に自分の想像だけで満足して、それ以上知ろうとしないのは好奇心が足りてない、とも考えられます。

教育する内容と相手、作品によっても鑑賞の仕方は変わるので、自分の鑑賞を考える場合は本書とは別で考える必要があります。

子供達への感性の教育と、自分自身にとってどうか、は切り分けて考えるべきです。

知識は悪くない

知識

本書で知識自体を否定してるわけではありません。

ただ、知識に偏ることを警鐘して、自由、自由、自由・・・と続くと知識の印象は悪くなります。
知識を持つ人を否定的に見る人も中にはいるでしょう。

そういう人はむしろ、自由に偏ってます
そして、気付いていないのです。

知識で見ることも自由だということに!

作品には基本的に意味があります。
名品となるのは技術的な面だけではなく、作者、作品の歴史的価値による所も多いと考えてます。
それも含めての美術です。

何の為に鑑賞するか

考える人

多くの人にとって美術館に行く目的は有名な作品を見ること、が多いのではないでしょうか。

芸術を学びたい、見てるのが好き、といった目的もあるかもしれません。
どの目的も間違っていません。
それぞれが自分に合った鑑賞の仕方をすればいいと思います。
その上で本書のような本を読み、参考にして良いとこ取りをすればいいのです。

想像力を目的にすると、むしろ歴史的な名画でなくても良さそうです。
子供の絵も大人ができないような独特な感性や表現で描かれるので、想像するには良いかもしれません。

現代芸術であれば想像させるものが多いので、意識しなくても想像力で見れそうです。
説明文に「意味はない」と書かれた作品を見たことがあります。
その時は何も考える気も起きませんでした。

ナツメ
ナツメ

想像力に偏り過ぎて鑑賞が脳トレになっては本末転倒。

まとめ

知識に偏ってはいけないことは賛成です。
ただし、自由に偏ってもいけません。

本書を読んで自分もできるだけ作品を見てから説明文を読むようになりました。
色々考えるきっかけになったので、読んで良かったです。

ナツメ
ナツメ

自由に縛られない自由な鑑賞をしよう!


余談ですが、「自由」って良い言葉ですが、怖い所もあります。

「自由」は、人によってはプレッシャーになる場合もあるのです。
夏休みの宿題で言うと、自分は自由研究よりドリルをやってる方が気楽でした。

自由にさせてあげる、というのも時と場合によっては相手にストレスを与えてるだけかもしれませんね。

以上

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