京都市京セラ美術館の特別展の感想です。
ここは約1年振り、ルーブル美術館展は数年振りです。
念の為、日時指定予約で朝一(10:00)を予約してから行きましたが、当然ながら混んでましたね。
概要
展覧会 | 期間 |
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[特別展] ルーヴル美術館展-愛を描く- | 2023/06/27 ~ 2023/09/24 |
「愛」をテーマにした特別展です。
16世紀から19世紀の名画が73点展示されています。
今回の目玉作品はチラシにも使われているフランソワ・ブーシェ「アモルの標的」(No.1)です。
フランソワ・ジェラール「アモルとプシュケ」(No.67)との両面でしたが、ブーシェの方が幅広く好まれる作品と思います。
誰もが知る名画があるわけではないですが、ルーヴルや西洋絵画が好きなら必見です。
第4章だけは写真撮影可でした。
巡回展
感想
「愛」をテーマに神話から中世の作品を集めてますが、基本的に現代の「愛」の感覚とは違うので、個人的にはあまり「愛」を意識して見てなかったです。
(現代の「愛」も説明できないけど。)
裸体が出てる作品は官能的に見えました。
西洋画は神話なら裸体もOKというトンデモ理論がまかり通っていましたが、神話の絵でも官能的な娯楽品として見ている部分もあったんではなかろうか。
どちらにしろ、今は神話の絵が官能的に見えても問題ないです。
お勧めは無難に選ぶならブーシェ「アモルの標的」(No.1)ですが、妙に印象に残ったのはラグルネ(兄)のケンタウロスの尻(No.67)かな。
以下に印象に残ったものを書いていきます。
フランソワ・ブーシェ|アモルの標的
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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1 | フランソワ・ブーシェ François Bouche | アモルの標的 Cupid’s Target | 1758 | – | ー |
目玉作品が入口すぐの1点目でした。
目玉、かつ、最初は皆元気でしっかり見るので、一番混みます。
見たことある絵で、ポストカードも買ってました。
2009年の国立国際美術館での特別展でした。
ハート、キューピッド(アモル)、矢が描かれていて、日本人にも「愛」をイメージしやすい。
説明が無いと内容がわかりにくい作品が多い中で、この絵はキャッチーで良いですね。
元々は連作タペストリーの原画の一つらしいので、タペストリーも見てみたいです。
フランソワ・ラグルネ(兄)|眠るアモルを見つめるプシュケ
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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6 | ルイ=ジャン=フランソワ・ラグルネ(兄) Louis-Jean-François Lagrenée the Elder | 眠るアモルを見つめるプシュケ Psyche Observing the Sleeping Cupid | 1768 | – | ー |
アモルの体が青年だとより官能的に見える。
顔を見るなと夫のアモルから言われていたプシュケがランプで顔を見る場面です。
経緯はざっくり下記です。
・プシュケは元々、人間の娘でヴィーナスが妬むほどの美しさでした。
・そこで、ヴィーナスは子のアモルに醜い生き物と結婚するように命じます。
・しかし、アモルは愛の矢を自分に刺していしまい、プシュケに恋をしてしまいます。
「No.67 アモルとプシュケ」がその場面です。
・アモルは自分の姿を見てはいけないと言い、夜だけ会いに来る結婚生活が始まります。
(見てはいけない理由には、神と人の関係、母が憎む相手、が挙げられる。)
・その結果、この場面に至ります。
フランソワ・ラグルネ(兄)|ウルカヌスに驚かされるマルスとヴィーナス【落書】
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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7 | ルイ=ジャン=フランソワ・ラグルネ(兄) Louis-Jean-François Lagrenée the Elder | ウルカヌスに驚かされるマルスとヴィーナス Mars and Venus Surprised by Vulcan | 1768 | – | ー |
絵を見ると驚いているのはウルカヌスの方に見える。
兄のウルカヌスの妻であるヴィーナスと弟のマルスが浮気している場面です。
物語としてはベッドに網を仕掛けて二人を罠にかけるようですが、この絵に関しては罠にかける前の浮気を確認した段階ですかね。
ミシェル・ドリニー|パンとシュリンクス
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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13 | ミシェル・ドリニー Michel Dorigny | パンとシュリンクス Pan and Syrinx | 1657 | – | ー |
奥にいる女性の羽が蝶でした。
アモルの妻であるプシュケには「魂」、「蝶」の意味がある為、蝶の羽で描かれることがあるようです。
パンがシュリンクス(アルテミスの従者)に求婚して追いかける場面です。
ちなみに、パンとプシュケは繋がりがあります。
夫が姿を消し、河辺で泣いていた所を慰めたのがパンで、姿を消した原因が「No.6 眠るアモルを見つめるプシュケ」です。
その後、色々あってプシュケは神となり、めでたく結ばれます。
なので、この絵はプシュケが神になった後の話ですね。
フランソワ・ラグルネ(兄)|デイアネイラを掠奪するケンタウロスの ネッソス【落書】
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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14 | ルイ=ジャン=フランソワ・ラグルネ(兄) Louis-Jean-François Lagrenée the Elder | デイアネイラを掠奪するケンタウロスの ネッソス The Centaur Nessus Abducting Deianira | 1755 | – | ー |
ケンタウロスの下半身が牛(ホルスタイン)のように白黒です。
何故かケンタウロスの尻が官能的に見えるんだけど、おかしいかな?
ホルスタインの色で少しピンクが入っているから、そう見えるのかも。
ウスターシュ・ル・シュウール|ユピテルの雷を盗むアモル【落書】
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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27 | ウスターシュ・ル・シュウール Eustache Le Sueur | ユピテルの雷を盗むアモル Cupid Stealing Jupiter’s Thunderbolt | 1645-1647 | – | ー |
雷は螺旋状の棒に矢印のような稲妻が付いています。
余談ですが、エクレアの語源は「稲妻」でした。
何故鳥に乗っているのだろうと、調べてみると、ユピテルのシンボルが雷、鷲、樫でした。
ということは左手に持っているのは樫か?
シンボルを3つとも盗んだ場面ということですね。
恐ろしい子・・・!
フランソワ・ブーシェ|アモルを支える三美神
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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61 | フランソワ・ブーシェ François Boucher | アモルを支える三美神 The Three Graces Holding Aloft Cupid | 1765 | – | – |
他の作品に比べると線が少し粗く見える。
習作かと思ったけど、そういうわけでもないのか。
フランソワ・ジェラール|アモルとプシュケ
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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67 | フランソワ・ジェラール Baron François Gérard | 「アモルとプシュケ」または 「アモルの最初のキスを受けるプシュケ」 Cupid and Psyche, also known as Psyche Receiving Cupid’s First Kiss | 1798 | – | – |
目玉の一つですが、ブーシェより人気は落ちる(個人の見解)のと、最後の方は皆疲れて流し見するので、比較的に空いています。
アモルがプシュケに恋をした時の場面です。
時系列的には「No.6 眠るアモルを見つめるプシュケ」より少し前になります。
ウジェーヌ・ドラクロワ|アビドスの花嫁
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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73 | ウジェーヌ・ドラクロワ Eugène Delacroix | アビドスの花嫁 The Bride of Abydos | 1852-1853 | – | ー |
「群衆を導く自由の女神」で有名なドラクロワです。
イギリスの詩人バイラオンの「アビドスの花嫁」が題材です。
・アビドスの花嫁
お嬢様であるズレイカと海賊の首領であるセリムの悲恋物語。
ズレイカの父からの追手と戦おうとするセリムをズレイカが引き留める場面です。
構図はドラマチックに描かれていて、小さい絵ですが、緊迫感もあって迫力がある気がします。
以上
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