京都文化博物館の特別展、企画展の感想です。
タイトルからして猫好き必見の展覧会です。
概要
展覧会 | 期間 |
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[特別展] もしも猫展 | 2023/09/23 ~ 2023/11/12 前期:09/23~10/15 後期:10/17~11/12 |
[企画展(総合展示)] いけばなの世界展 | 2023/08/19 ~ 2023/10/15 |
[企画展(総合展示)] 池大雅展 ─あるコレクターの視点 | 2023/10/07 ~ 2023/12/03 |
[企画展(総合展示)] 近衞家 王朝のみやび 陽明文庫の名宝13 「三藐院記」 重要文化財指定記念 近衞信尹の生涯 | 2023/10/07 ~ 2023/12/03 前期:10/07~11/05 後期:10/17~12/03 |
猫を中心に擬人化した作品を集めた展覧会です。
歌川国芳の浮世絵が中心になります。
「もしも猫展」の前期後期は絵巻物の場面替です。
出品作品は変わりません。
一部の作品を除き、写真撮影も可能です。
禁止されているものは下記のマークがついてます。
巡回展
感想「もしも猫展」
浮世絵好き、または猫好きにお勧めの展覧会でした。
現代のように猫の種類は多くないので、色んな猫が登場する現代版も見てみたいですね。
表現の幅も広がりそう。
歌川国芳|流行猫の曲鞠
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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3 | 歌川国芳 | 流行猫の曲鞠 | 1841 | – | 第一章 くらべてみる |
4 | 錦江斎春艸 | 墨摺報条 風流曲手まり | 1841 | – | 第一章 くらべてみる |
# | 歌川国芳 | 流行猫の曲手まり | – | – |
当時、浅草で流行った菊川国丸による「曲毬」が元になります。
天保十二年(1841)の2月には国丸の見世物興行があったという記録が残っています。
その翌月位には出版されていたようなので、流行に対して敏感だったことがわかります。
まぁ、商売のことを考えれば流行っている時に売るのは当然か。
歌川国利|新版猫の玉のり
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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6 | – | 新版玉のり尽 | 1895 | – | 第一章 くらべてみる |
7 | 歌川国利 | 新版猫の玉のり | 1895 | – | 第一章 くらべてみる |
国芳から約半世紀、明治28年です。
玉乗りだと西洋を感じますね。
歌川芳春|猫角力あそび
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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10 | 歌川芳春 | 猫角力あそび | 19世紀後半 | – | 第一章 くらべてみる |
11 | 葛飾北斎 | ちからおびしめこみのかたち ほか 『北斎漫画』十一編 | 19世紀前半 | – | 第一章 くらべてみる |
北斎漫画の中でも角力のポーズは有名な方です。
右側の後ろ向きで腰に手を当ててる姿はよく見ます。
歌川国芳|道外十二支
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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21 | 歌川国芳 | 道外十二支 | 1855 | – | 第二章 擬人化の効能 |
十二支をモデルにした絵です。
代表で牛です。
中央上部には有名なフレーズである「牛にひかれて 善光寺参り」が書かれてますね。
行ったことがある場所が出てくると気になります。
月岡芳年|猫鼠合戦 犬張子・鼠おとし
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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24 | 月岡芳年 | 猫鼠合戦 犬張子・鼠おとし | 1859 | – | 第二章 擬人化の効能 |
今回も張り子を見つけました。
今年は張り子が多い気がします。
月岡芳年|教訓善悪図解
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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35 | 月岡芳年 | 教訓善悪図解 家を大切にする息子 家蔵を失ふ息子 | 1880 | – | 第二章 擬人化の効能 |
今で言う「天使のささやきと悪魔のささやき」がこの頃には描かれていたんですね。
まぁ、人間の葛藤に時代は関係ないですね。
望斎秀月|新板ねこの温泉 など【落書】
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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36 | 望斎秀月 | 新板ねこの温泉 | 1855 | – | 第二章 擬人化の効能 |
59 | 歌川国利 | 流行ねこの温泉 | 1881 | – | 第三章 おこまものがたり |
60 | 歌川芳藤 | 新板猫の温泉 | 1888 | – | 第三章 おこまものがたり |
ねこの温泉です。
同じ画題ですが、三者三様で面白いです。
うーん、背中に年季を感じる・・・。
美術館「えき」KYOTOで2010年にやっていた「にゃんとも猫だらけ展」を思い出しました。
入口に看板の写真があったので、上げておきます。
歌川芳藤の「流好 温泉の景」に出てくる猫です。
歌川国芳|龍宮城
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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39 | 歌川国芳 | 龍宮城 田原藤太秀郷に三種の土産を贈る | 1858 (1853) | – | 第二章 擬人化の効能 |
龍宮城と亀が出ると浦島太郎っぽいですね。
色々と混ざっているかもしれません。
小林幾英|新板猫の勉強学校
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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61 | 小林幾英 | 新板猫の勉強学校 | 1887 | – | 第三章 おこまものがたり |
チラシにも使われている作品です。
服装を見るのも面白いです。
歌川竹子|猫の踊り など
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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64 | 歌川竹子 | 猫の踊り | 1880 | – | 第三章 おこまものがたり |
66 | 芦原国直 | 新板猫相撲づくし | 1885 | – | 第三章 おこまものがたり |
組み上げ絵と呼ばれるものです。
組み立て方がわからないパーツが色々あったんですが、展示室の最後に完成版を置いてくれていました。
写真撮影OKなので、写真を印刷しても作れそうです。
月岡芳年|寛政年間処女の風俗
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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74 | 月岡芳年 | 風俗三十二相 うるささう 寛政年間処女の風俗 | 1888 | – | 第三章 おこまものがたり |
猫の毛に「空摺り」という凹凸線で表現する技法が使われています。
わかりやすい例ですね。
歌川広重|浅草田甫酉の町詣
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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77 | 歌川広重 | 名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣 | 1857 | – | 第三章 おこまものがたり |
猫が出てくる浮世絵としてもよく登場する画です。
とてもシンプルな線で描かれてますが、愛嬌がある姿です。
部屋の様子や、遠くの風景もしっかり描かれていますが、シンプルな猫に目がいってしまいます。
罪な猫ですわ。
歌川国芳|荷宝蔵壁のむだ書
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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85 | 歌川国芳 | 荷宝蔵壁のむだ書 月もといなばの助 ほか | 1847 | – | 第四章 人、猫になる |
これも国芳の猫の代表作。
ニャロメみたいな猫です。
歌川国芳|亀喜妙々
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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92 | 歌川国芳 | 亀喜妙々 | 1848 | – | 第四章 人、猫になる |
題名を見れば、おめでたい画だとはわかるのですが、不気味です。
全身タイツを着たモジモジくんを思い出す。
歌川国芳|正札附現金男 野晒悟助
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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128 | 歌川国芳 | 国芳もやう 正札附現金男 野晒悟助 | 1845 | – | 第五章 国芳のまなざし |
好きな画でもあるので、国芳の役者絵の中でも代表作の一つと思っています。
髑髏の印象が強いですが、そう言えばこれも猫の絵でしたね。
感想「いけばなの世界展」
先月に引き続きの開催中でした。
なので先月分に追記して、ここでは省略します。
感想「池大雅展」
京都文化博物館で毎年開催されている企画展です。
平成25年に閉館した池大雅美術館から全コレクションが京都府に寄贈されたことで、毎年行われるようになったようです。
池大雅|高士訪隠図屏風【落書】
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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25 | 池大雅 | 高士訪隠図屏風 | 江戸 | – | – |
全体的に線が柔らかいです。
山肌が細い毛のような線で表現されていて、海は網のようです。
感想「近衞信尹の生涯」
陽明文庫からの展示は京都文化博物館でも定番になっています。
能書家である近衞信尹ゆかりの展示になります。
重要文化財指定記念ということで、信伊の日記である「三藐院記」 が多めに展示されています。
藤原道長が書いた国宝の「御堂関白記」も常連です。
両方とも貴重な史料ですが、事務的な内容が多い印象なので、これ自体がそんなに面白いものではない。
歴史好きなら内容でも楽しめるかもしれません。
・近衞信尹(1565-1614)
安土桃山時代から江戸時代初期の公卿で近衛家18代当主。
能書家として有名で、「寛永の三筆」の一人。
他は本阿弥光悦と松花堂昭乗。
・陽明文庫
近衛家に伝わる史料を保管している機関。
殆ど書籍で、画は「源氏物語和歌色紙貼交屏風」だけでした。
この屏風は良かったです。
通期で展示されているので、特別展のついでにお勧めです。
近衞信尹筆|源氏物語和歌色紙貼交屏風
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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25 | 近衞信尹筆 | 源氏物語和歌色紙貼交屏風 | 17世紀 | 通期 | – |
菊の花は胡粉をたっぷり使っていて立体的です。
剥落も少なく、金箔も綺麗で、状態はかなり良さそうです。
色紙の色が沢山あり、花の色も合わせて彩り豊かで綺麗でした。
以上
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