千葉市にある千葉市美術館です。
千葉市の中心地にあり、複数の企画展ができる立派な美術館でした。
食事処が3か所もあるのは珍しい気がします。
概要
企画展は知らない画家でしたが、楽しめました。
千葉ゆかりの画家だったので、千葉への観光の一つとして丁度良かったです。
元々、川崎銀行千葉支店があった場所で、1995年に美術館が建てられました。
銀行の建物を保存する為、覆いかぶさるように造られています。
古い建物を新しい建物で覆うことを「鞘堂(覆堂)」方式と呼ぶことから、「さや堂ホール」と名付けられました。
床が色んなデザインで綺麗です。
建物自体は神奈川県横浜市出身の建築家の矢部又吉によって1927年に建てられました。
矢部又吉は同じ時期に川崎銀行の店舗を多く手掛けたようです。
川崎銀行自体は明治時代にできた銀行ですが、色々な吸収合併を経て戦前の1943年には現材の三菱UFJ銀行に吸収されました。
浮世絵スタンプがありました。
ちょっと薄かったかな。
原本は下記で見れます。
2日前に東京国立博物館で写楽を押したばかりでした。
綺麗に押すのが難しい。
感想(板倉鼎・須美子展)
板倉鼎(1901-1929)は大正から昭和にかけて活躍した洋画家です。
妻の須美子(1908-1934)も夫の影響から油彩画を始めてます。
残念ながら2人とも病気で夭折しています。
■略歴
年 | 内容 |
---|---|
1901 | ・板倉鼎 埼玉で生まれる ・後に千葉県松戸に転居 (小学校~中学校を過ごす) |
1908 | 昇須美子 東京で生まれる |
1919 | 鼎 東京美術学校に入学 |
1925 | 鼎と須美子が結婚する |
1926 | 鼎、須美子を伴いパリへ留学 |
1927 | 須美子 この頃に油彩画を始める |
1929 | ・鼎 パリで病没 ・須美子 日本へ帰国 |
1934 | 須美子 病没 |
板倉鼎|千葉町
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1-4 | 板倉鼎 | 千葉町 | 1918 | 通期 | ー |
薄紫の空が綺麗です。
県庁舎のドームが印象的な街並みです。
板倉鼎|水辺の風景
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1-14 1-15 | 板倉鼎 | 水辺の風景(坂川) 水辺の風景(堂ノ口) | 1920 | 通期 | ー |
水辺を描いた2作。
19歳なので、まだ綺麗にまとまった感じの絵です。
板倉鼎|木影
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1-25 | 板倉鼎 | 木影 | 1922 | 通期 | ー |
柔らかい光につつまれていて、穏やかな作品です。
ルノワール(1841-1919)の雰囲気に少し似ています。
板倉鼎|雲と秋果
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
4-2-41 | 板倉鼎 | 雲と秋果 | 1927 | 通期 | ー |
静物画ですが、非現実的な印象もあります。
シュルレアリスムが活発になっている時期でもあるので、その影響もあるかもしれません。
板倉鼎|垣根の前の少女
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
4-2-20 | 板倉鼎 | 垣根の前の少女 | 1927 | 通期 | ー |
無表情で花を咥えた女性。
少し怖いです。
板倉須美子|ベル・ホノルル
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
4-2-54 4-3-48 4-3-52 | 板倉須美子 | 午後 ベル・ホノルル12 黒猫 ベル・ホノルル20 ベル・ホノルル24 | 1927-28 1928 1928 | 通期 | ー |
油彩画を始めて1~2年の作品です。
個性が凄い・・・これを否定しなかった鼎も中々のものです。
<午後 ベル・ホノルル12>
アンリ・ルソー(1844-1910)を彷彿とさせます。
日曜画家(専門的な教育を受けていない)という意味では共通してます。
<黒猫 ベル・ホノルル20>
この辺はマリー・ローランサン(1883-1956)っぽいですね。
<ベル・ホノルル24>
うーん、好みが分かれますね。
板倉鼎|黒椅子による女
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
4-3-39 | 板倉鼎 | 黒椅子による女 | 1928 | 通期 | ー |
関節がおかしい!?
鼎の絵も綺麗な絵から離れていっています。
板倉鼎|ダリアと少女
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
4-4-21 | 板倉鼎 | ダリアと少女 | 1929 | 通期 | ー |
これは・・・須美子の影響を受けてるのか??
感想(石井光楓)
石井光楓は千葉県出身の洋画家です。
フォービスムなどの色んな影響を受けて、自分の画風を模索していたようです。
板倉鼎、須美子がパリにいた時期と重なります。
関りがあったかはわかりませんが、同郷ですし、名前ぐらいは認識していたかもしれません。
■略歴
年 | 内容 |
---|---|
1892 | 千葉で生まれる |
1912 1914 | 20歳の頃、石井林響に日本画を学ぶ 22歳の頃、洋画に転向 |
1921 | 渡米 |
1925 | 渡仏 |
1931 | 帰国 |
1949 | 千葉の学校で美術を教える |
1975 | 死去 |
日本画を学んだ石井林響の作品は、千葉県立美術館で展示されていました。
※展示の有無は時期によって変わります
オレゴンシティ市場
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|
石井光楓 | オレゴンシティ市場 | – | ー |
荒々しいタッチで描かれていますが、街灯が眩しく夜の街の雰囲気が良く出てますね。
裸婦習作 Meditation
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|
石井光楓 | 裸婦習作 Meditation | – | ー |
制作年は不明ですが、パリでアカデミー・ジュリアンという画塾で学んでいた頃と考えられています。
キュイジニエール(食事の支度)
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|
石井光楓 | キュイジニエール(食事の支度) | 1927 | ー |
下宿先の管理人と考えられています。
ブロンジ村の秋/[フランスの農村]
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|
石井光楓 | ブロンジ村の秋 [フランスの農村] | 1930年頃 | ー |
これはフォービスムですね。
ヴラマンク(1876-1958)かな。
木蓮
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|
石井光楓 | 木蓮 | – | ー |
構図はシンプルな静物画です。
背景が真っ暗なので、重い雰囲気です。
感想(千葉市美術館コレクション選)
藤田嗣治|夏の漁村/房州太海
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|
藤田嗣治 | 夏の漁村(房州太海) 房州太海 | 1937 1936 | 油彩 絵はがき |
白い部分が藤田の特徴でもある乳白色に見えますね。
パリから帰国した1935年と1936年にこの場所をスケッチしたようです。
1937年からは日中戦争が始まり、藤田自身も1938年頃から従軍画家として戦地に赴きます。
この作品はまだ平和な頃の風景ですね。
中林竹洞|山水図襖
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|
中林竹洞 | 山水図襖 | 1804-18 | ー |
中林竹洞(1776-1853)は名古屋出身の江戸時代後期の文人画家です。
文人画らしい素朴な画です。
山本梅逸|四季山水図
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|
山本梅逸 | 四季山水図 | 1852 | ー |
山本梅逸(1783-1856)は名古屋出身で江戸時代後期の文人画家です。
手前の木や、背景の岩山にもそれぞれ個性があって面白いです。
小原古邨|雪中烏図
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|
小原古邨 | 雪中烏図 | 明治後期 | ー |
小原古邨(1877-1945)はテレビで見てから注目している画家です。
烏の羽根に「艶墨」という光沢のある墨が塗られています。
確度を変えて見ると光沢があることを確認できます。
渓斎英泉|仮宅の遊女
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|
渓斎英泉 | 仮宅の遊女 | 1835 | ー |
渓斎英泉(1791-1848)は江戸時代後期の浮世絵師です。
北斎の家に通って、学んだこともあるようです。
「仮宅」とは吉原遊郭が火事で全焼した時に、墨田川に一時的に建てられた建物のことです。
藍摺もお洒落ですね。
この頃、ベロ藍(プルシャン・ブルー)が流行っていたそうです。
月岡芳年|新形三十六怪撰 清姫日高川に蛇体と成る図
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|
月岡芳年 | 新形三十六怪撰 清姫日高川に蛇体と成る図 | 1890 | ー |
能の演目でも有名な道成寺です。
着物が蛇の鱗のようにも見えます。
絵や工芸の題材によく使われるので、このブログでも何度か出てきました。
感想(荒井恵子)
荒井恵子は千葉在住の水墨画の画家です。
気軽に和紙と墨に触れることができるワークショップです。
障子にも穴を空け放題でした。
和紙のカタログみたいなものも置いてあって興味深かったです。
以上
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