【美術】「板倉鼎・須美子展/石井光楓/コレクション展/荒井恵子」千葉市美術館

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千葉市美術館
千葉市美術館

千葉市にある千葉市美術館です。

千葉市の中心地にあり、複数の企画展ができる立派な美術館でした。
食事処が3か所もあるのは珍しい気がします。

概要

展覧会期間HP
[企画展]
板倉鼎いたくらかなえ・須美子展
2024/04/06 ~ 2024/06/16
[企画展]
千葉市美術館コレクション展
両洋のまなざし 石井光楓いしいこうふう
2024/04/06 ~ 2024/06/16
[常設展]
千葉市美術館コレクション選
2024/04/03 ~ 2024/05/06
[つくりかけラボ14]
荒井恵子あらいけいこ|和紙のフトコロ 墨のダイゴミ
2024/02/14 ~ 2024/05/26

企画展は知らない画家でしたが、楽しめました。
千葉ゆかりの画家だったので、千葉への観光の一つとして丁度良かったです。


前
さや堂ホール横
さや堂ホール横
ホール内
ホール内

元々、川崎銀行千葉支店があった場所で、1995年に美術館が建てられました。
銀行の建物を保存する為、覆いかぶさるように造られています。
古い建物を新しい建物で覆うことを「鞘堂さやどう覆堂おおいどう)」方式と呼ぶことから、「さや堂ホール」と名付けられました。

床が色んなデザインで綺麗です。
建物自体は神奈川県横浜市出身の建築家の矢部又吉やべまたきちによって1927年に建てられました。
矢部又吉は同じ時期に川崎銀行の店舗を多く手掛けたようです。

川崎銀行自体は明治時代にできた銀行ですが、色々な吸収合併を経て戦前の1943年には現材の三菱UFJ銀行に吸収されました。


名所江戸百景 亀戸天神境内
名所江戸百景 亀戸天神境内

浮世絵スタンプがありました。
ちょっと薄かったかな。
原本は下記で見れます。

2日前に東京国立博物館で写楽を押したばかりでした。
綺麗に押すのが難しい。

感想(板倉鼎・須美子展)

板倉鼎・須美子展
板倉鼎・須美子展
構成

Ⅰ  生い立ちから出会いまで ―鼎
Ⅱ  出会い、結婚
Ⅲ  出発 ―ハワイへ、そしてパリへ
Ⅳ-1 パリ留学―1926年
Ⅳ-2 パリ留学―1927年
Ⅳ-3 パリ留学―1928年
Ⅳ-4 パリ留学 ―1929年
Ⅴ  夭折

板倉鼎いたくらかなえ(1901-1929)は大正から昭和にかけて活躍した洋画家です。
妻の須美子すみこ(1908-1934)も夫の影響から油彩画を始めてます。

残念ながら2人とも病気で夭折しています。


■略歴

内容
1901板倉鼎 埼玉で生まれる
・後に千葉県松戸に転居
 (小学校~中学校を過ごす)
1908昇須美子のぼりすみこ 東京で生まれる
1919 東京美術学校に入学
1925須美子が結婚する
1926須美子を伴いパリへ留学
1927須美子 この頃に油彩画を始める
1929 パリで病没
須美子 日本へ帰国
1934須美子 病没

板倉鼎|千葉町

No作家名作品名期間備考
1-4板倉鼎千葉町1918通期

薄紫の空が綺麗です。
県庁舎のドームが印象的な街並みです。

板倉鼎|水辺の風景

No作家名作品名期間備考
1-14
1-15
板倉鼎水辺の風景(坂川)
水辺の風景(堂ノ口)
1920通期

水辺を描いた2作。
19歳なので、まだ綺麗にまとまった感じの絵です。

板倉鼎|木影

No作家名作品名期間備考
1-25板倉鼎木影1922通期

柔らかい光につつまれていて、穏やかな作品です。
ルノワール(1841-1919)の雰囲気に少し似ています。

板倉鼎|雲と秋果

No作家名作品名期間備考
4-2-41板倉鼎雲と秋果しゅうか1927通期
雲と秋果
雲と秋果

静物画ですが、非現実的な印象もあります。
シュルレアリスムが活発になっている時期でもあるので、その影響もあるかもしれません。

板倉鼎|垣根の前の少女

No作家名作品名期間備考
4-2-20板倉鼎垣根の前の少女1927通期
垣根の前の少女
垣根の前の少女

無表情で花を咥えた女性。
少し怖いです。

板倉須美子|ベル・ホノルル

No作家名作品名期間備考
4-2-54
4-3-48
4-3-52
板倉須美子午後 ベル・ホノルル12
黒猫 ベル・ホノルル20
ベル・ホノルル24
1927-28
1928
1928
通期

油彩画を始めて1~2年の作品です。
個性が凄い・・・これを否定しなかった鼎も中々のものです。

<午後 ベル・ホノルル12>

午後 ベル・ホノルル12
午後 ベル・ホノルル12


アンリ・ルソー(1844-1910)を彷彿とさせます。
日曜画家(専門的な教育を受けていない)という意味では共通してます。

<黒猫 ベル・ホノルル20>

この辺はマリー・ローランサン(1883-1956)っぽいですね。

<ベル・ホノルル24>

ベル・ホノルル24
ベル・ホノルル24

うーん、好みが分かれますね。

板倉鼎|黒椅子による女

No作家名作品名期間備考
4-3-39板倉鼎黒椅子による女1928通期
黒椅子による女
黒椅子による女

関節がおかしい!?
鼎の絵も綺麗な絵から離れていっています

板倉鼎|ダリアと少女

No作家名作品名期間備考
4-4-21板倉鼎ダリアと少女1929通期
ダリアと少女
ダリアと少女

これは・・・須美子の影響を受けてるのか??

感想(石井光楓)

構成

序章 生い立ち
第一章 アメリカ時代
第二章 パリ―西洋と東洋、両洋のはざまで
第三章 日本の画壇へ―春陽会しゅうようかいとの出会い

石井光楓いしいこうふうは千葉県出身の洋画家です。

フォービスムなどの色んな影響を受けて、自分の画風を模索していたようです。

板倉鼎、須美子がパリにいた時期と重なります。
関りがあったかはわかりませんが、同郷ですし、名前ぐらいは認識していたかもしれません。


■略歴

内容
1892千葉で生まれる
1912
1914
20歳の頃、石井林響   りんきょうに日本画を学ぶ
22歳の頃、洋画に転向
1921渡米
1925渡仏
1931帰国
1949千葉の学校で美術を教える
1975死去

日本画を学んだ石井林響の作品は、千葉県立美術館で展示されていました。
※展示の有無は時期によって変わります

オレゴンシティ市場

作家名作品名備考
石井光楓オレゴンシティ市場
オレゴンシティ市場
オレゴンシティ市場

荒々しいタッチで描かれていますが、街灯が眩しく夜の街の雰囲気が良く出てますね。

裸婦習作 Meditation

作家名作品名備考
石井光楓裸婦習作 Meditation
裸婦習作 Meditation
裸婦習作 Meditation

制作年は不明ですが、パリでアカデミー・ジュリアンという画塾で学んでいた頃と考えられています。

キュイジニエール(食事の支度)

作家名作品名備考
石井光楓キュイジニエール(食事の支度)1927
キュイジニエール(食事の支度)
キュイジニエール(食事の支度)

下宿先の管理人と考えられています。

ブロンジ村の秋/[フランスの農村]

作家名作品名備考
石井光楓ブロンジ村の秋
[フランスの農村]
1930年頃

これはフォービスムですね。

ヴラマンク(1876-1958)かな。

木蓮

作家名作品名備考
石井光楓木蓮
木蓮
木蓮

構図はシンプルな静物画です。
背景が真っ暗なので、重い雰囲気です。

感想(千葉市美術館コレクション選)

構成

・特集 無縁寺心澄むえんじしんちょうが描いた都川
・特集 巴里ぱり:5人の日本人画家
竹洞と梅逸ちくとう  ばいいつ
・和紙と墨 つくりかけラボ14
 荒井恵子 「和紙のフトコロ 墨のダイゴミ」 関連展示
・墨の奥行き/濃淡の表現
 荒井恵子さんオススメの浮世絵
・特集 パリゆかりの作家たち
・特集 白井美穂

藤田嗣治|夏の漁村/房州太海

作家名作品名備考
藤田嗣治ふじたつぐはる夏の漁村(房州太海ぼうしゅうふとみ
房州太海
1937
1936
油彩
絵はがき

白い部分が藤田の特徴でもある乳白色に見えますね。

パリから帰国した1935年と1936年にこの場所をスケッチしたようです。
1937年からは日中戦争が始まり、藤田自身も1938年頃から従軍画家として戦地に赴きます。

この作品はまだ平和な頃の風景ですね。

中林竹洞|山水図襖

作家名作品名備考
中林竹洞なかばやしちくとう山水図襖1804-18
山水図襖
山水図襖

中林竹洞(1776-1853)は名古屋出身の江戸時代後期の文人画家ぶんじんがかです。

文人画らしい素朴な画です。

山本梅逸|四季山水図

作家名作品名備考
山本梅逸やまもとばいいつ四季山水図1852
四季山水図
四季山水図

山本梅逸(1783-1856)は名古屋出身で江戸時代後期の文人画家です。

手前の木や、背景の岩山にもそれぞれ個性があって面白いです。

小原古邨|雪中烏図

作家名作品名備考
小原古邨おはらこそん雪中烏図せっちゅうからすず明治後期
雪中烏図
雪中烏図

小原古邨(1877-1945)はテレビで見てから注目している画家です。

烏の羽根に艶墨つやずみという光沢のある墨が塗られています。
確度を変えて見ると光沢があることを確認できます。

烏

渓斎英泉|仮宅の遊女

作家名作品名備考
渓斎英泉けいさいえいせん仮宅の遊女かりたく ゆうじょ1835
仮宅の遊女
仮宅の遊女

渓斎英泉(1791-1848)は江戸時代後期の浮世絵師です。
北斎の家に通って、学んだこともあるようです。

「仮宅」とは吉原遊郭よしわらゆうかくが火事で全焼した時に、墨田川に一時的に建てられた建物のことです。

藍摺あいずりもお洒落ですね。
この頃、ベロ藍(プルシャン・ブルー)が流行っていたそうです。

月岡芳年|新形三十六怪撰 清姫日高川に蛇体と成る図

作家名作品名備考
月岡芳年つきおかよしとし新形三十六怪撰しんけいさんじゅうろっかいせん
清姫日高川に蛇体と成る図きよひめひだかがわ じゃたい  な  ず 
1890
清姫日高川に蛇体と成る図
清姫日高川に蛇体と成る図

能の演目でも有名な道成寺どうじょうじです。
着物が蛇の鱗のようにも見えます。

絵や工芸の題材によく使われるので、このブログでも何度か出てきました。

ブログ内検索「道成寺」

感想(荒井恵子)

荒井恵子
荒井恵子

荒井恵子あらいけいこは千葉在住の水墨画の画家です。
気軽に和紙と墨に触れることができるワークショップです。
障子にも穴を空け放題でした。

和紙のカタログみたいなものも置いてあって興味深かったです。


以上

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