
京都文化博物館の特別展の感想です。
総合展示もあわせて見ました。
概要
展覧会 | 期間 |
---|---|
[特別展] 日中平和友好条約45周年記念世界遺産 大シルクロード展 | 2024/11/23 ~ 2025/02/02 |
[企画展(総合展示)] うつす美 ─ 江戸時代の絵画学習 | 2024/12/14 ~ 2025/02/02 |
[企画展(総合展示)] 鶴澤派探求 ─朝廷御用絵師の要─ | 2024/11/30 ~ 2025/01/26 |
中国の博物館で所蔵しているシルクロードに関連した物を集めた展覧会です。
「一級文物」に指定されている物も沢山展示されていました。
・一級文物
中国の最高級宝物を形容する言葉。
日本における「国宝」。
正倉院はシルクロードの終着点、とも言われており、正倉院の宝物に通ずる物もありました。
- 大シルクロード展
第1章 民族往来の舞台
― 胡人の活動とオアシスの遺宝
第2章 東西文明の融合
― 響き合う漢と胡の輝き
第3章 仏教東漸の遥かな旅
― 眠りから覚めた経典と祈りの造形 - うつす美 ─ 江戸時代の絵画学習
- 鶴澤派探求 ─朝廷御用絵師の要─
第一章 鶴澤派の誕生
第二章 京都での展開
第三章 御用絵師との確立
第四章 門人拡大のみち
エレベータ前の撮影スポットと、展示室を入ってすぐにある大きなパネルです。
チラシにも使われているNo.7「瑪瑙象嵌杯」、No.109「鳳首杯」です。
巡回展
感想(大シルクロード展)
男子跪坐像【落書】
No | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | 男子跪坐像 | 前5-前3世紀 | 一級文物 |

現地で描いてみたけど上手く描けませんでした。
帰ってから改めて色付きで描きました。
手に穴が開いているので、何かを持っていたと思われます。
やはり武器でしょうか。
玉すだれと言う可能性もあるかもしれません。
切子杯/貼付円文高脚杯
No | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|
4 5 | 切子杯 貼付円文高脚杯 | 3-4世紀 6-7世紀 | ー 一級文物 |

正倉院にも似たガラス製品がありました。
流石、シルクロードの終着点です。
正倉院の状態の良さは異常です。
瑪瑙象嵌杯/瑪瑙象嵌壺
No | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|
7 8 | 瑪瑙象嵌杯 瑪瑙象嵌壺 | 5-7世紀 | 一級文物 |
同じところから出土した2点です。
杯の方はつぶれた感じになっていますが、元は丸かったとも。
箜篌(竪琴)/反弾琵琶舞楽図
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
10 | ー | 箜篌(竪琴) | 前8-前3世紀 | ー |
178 | 呉栄鑑 | 反弾琵琶舞楽図 模写[観無量寿経変 部分] | 8-9世紀 | 敦煌莫高窟 |

正倉院展で復元していて、印象的だった楽器です。
No.178の舞楽図で演奏の様子が描かれています。
「反弾」は琵琶を背で弾くことをあらわします。
ロック(?)ですね。
敦煌市内のロータリーには反弾琵琶像があり、敦煌の象徴的存在です。
マニ教ソグド語の手紙
No | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|
12 | マニ教ソグド語の手紙 | 11世紀初 | 一級文物 |

経典みたいなものかと思ったら手紙だそうです。
豪華な絵が添えられているのは年賀の手紙だからだそうです。
年賀状ですね。
半人半馬および武人像壁掛
No | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|
15 | 半人半馬および武人像壁掛 | 前2-後2世紀 | 一級文物 |

綴織の壁掛けで、写実的な顔です。
開元通寶/和同開珎
No | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|
50 51 | 開元通寶 和同開珎 | 621 708 | 第1章 |
<開元通寶>
唐で作られた周辺地域で広く使われた貨幣です。
<和同開珎>
開元通寶を参考にして日本で作られた貨幣で、流通貨幣としては日本最古です。
中国から出土したもので、交易があったことの証とも言えます。
囲碁仕女図屏風
No | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|
52 53 54 | 樹下美人図(《囲碁仕女図屏風》部分) 囲碁仕女図屏風 童子図(《囲碁仕女図屏風》部分) | 8世紀 1972 8世紀 | 一級文物 – 一級文物 |

No.52~54は一つだったものです。
唐時代に流行った画題で、正倉院にある「鳥毛立女屏風」への影響も指摘されています。
車馬儀仗隊
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
86 | ー | 車馬儀仗隊 | 1-3世紀 | 一級文物 |

腕が平べったかったり人物はかなりデフォルメされています。
馬の身体に文字が彫られており「車馬将車奴一人従□二人」と書かれています。
おそらく何体かのセットで作られていますね。
鳳首杯/駱駝
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
109 | ー | 鳳首杯 | 8世紀 | 一級文物 |
122 | ー | 駱駝 | 8世紀 | – |
唐三彩の酒杯と駱駝です。
この酒杯は台が無いと置けないですね。
高知にある「べく杯」という杯を思い出した。
飲み干すまで置けないという恐ろしい杯です。
この酒杯だと結構な量ですが・・・。
駱駝は同じタイプの物が京都国立博物館でも見たことがあります。
(2025年1月に行った時は展示無し)
献馬図
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
123 | ー | 献馬図 | 666 | 一級文物 |

二人の男性が描かれていますが、顔の描写が違って見えるので民族が違うかもしれません。
維摩図
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
175 | 趙俊栄 鄧恒 | 維摩図 模写[維摩経変 部分] | 7世紀 | ー |
服装の種類も色々あり、色んな民族が描かれているのかもしれません。
シビ王本生図/降魔図
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
172 173 | 段文傑 | シビ王本生図 模写 降魔図 模写 | 5-6世紀 | ー |
シビは釈迦が菩薩として修業をしていた時の名前とのことです。
釈迦の悟りを天界の魔王が妨害しようとしている場面です。
鹿王本生図/阿弥陀仏説法図/舞楽図
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
171 | 常書傑 | 鹿王本生図 および須摩提女請仏因縁図 模写 | 5-6世紀 | 第1章 |
174 | 杜顕清 楊麟翼 | 阿弥陀仏説法図 模写 | 7世紀 | |
176 | 霍秀峰 | 舞楽図 模写[阿弥陀浄土変 部分] | 7世紀 |

感想(うつす美)
冷泉為恭|古刀剣摸図
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
10 | 冷泉為恭 | 古刀剣摸図 | – | うつす美 |
刀剣の装飾が綺麗に描かれています。
冷泉為恭(岡田為恭)は幕末の大和絵師です。
冷泉は勝手に名乗っただけで公家の冷泉家と血縁関係は無いそうです。
感想(鶴澤派探求)
鶴澤探真|群鶴図屏風
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
30 | 鶴澤探真 | 群鶴図屏風 | – | 鶴澤派探求 |
水辺に立つ群鶴と金雲を飛び交う群鶴が印象的な屏風です。
鶴澤派は耳慣れない言葉でした。
初代の鶴澤探山は狩野探幽の門人で狩野派の絵師でもあります。
・鶴澤派
朝廷御用絵師を7代つとめた京都の画派。
歴代 | 名前 | 年 |
---|---|---|
初代 | 鶴澤探山(法橋幽泉) | 1655~1729 |
2 | 鶴澤探鯨 | 1687~1769 |
3 | 鶴澤探索 | 1729~1797 |
4 | 鶴澤探泉 | 1755~1816 |
5 | 鶴澤探春 | ? ~1843 |
6 | 鶴澤探龍 | ? ~1855 |
7 | 鶴澤探真 | 1834~1893 |
鶴澤家以外では下記の絵師の作品がありました。
・山本宗川(1679~1760)
初期の鶴澤派と同時期の狩野派の絵師
・石田幽汀(1721~1786)
2代・探鯨の弟子で、円山応挙の師
・大森捜月(江戸中期)
養父の捜雲が探山の弟子
・田中索我(1742~1814)
3代・探索の弟子
以上
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