大阪にある藤田美術館で開催されている企画展の感想です。
国宝の曜変天目茶碗が有名な美術館ですが、2022年のリニューアル後は初めての来館です。
概要
展覧会 | 期間 |
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[企画展] 装 緑 禅 旅 | 2023/03/01 ~ 2023/05/31 2023/02/01 ~ 2023/04/30 2023/04/01 ~ 2023/06/30 2023/05/01 ~ 2023/07/31 |
「装/緑/禅」の3つのテーマで展示しています。
ここに来る時は「曜変天目茶碗」を見たいので、展示されている期間を選んでしまいます。
今回は「禅」のコーナーで展示されているので6/30までの予定です。
元々は個人のコレクションを展示する施設なので大きくはないですが、国宝、重要文化財を多く所蔵している為、良い物が揃っている美術館です。
巡回展
・なし
感想
絵が全体的に多く、「緑」では青磁、「禅」では茶器が多く展示されていました。
好きな作家で言うと、漆芸家の柴田是真、日本画家の竹内栖鳳の作品が見れて良かったです。
リニューアルされて建物がすっかり変わっていたので驚きました。
エントランスはガラス張りで、入ってすぐは「あみじま茶屋」と言う茶屋が入っており、展示室の前にはカウンターも無く、美術館の入り口が合ってるのか最初は不安でした。
キャッシュレス推奨とのことで、展示室の入り口前にいるスタッフがカードリーダーを持っており、カード決済で入館料は支払いました。
他には無いスタイルなので珍しいです。
なので、エントランスはかなりミニマル(必要最小限)な空間になっていて、すっきりしていました。
これが一般化するかはわかりませんが、QRコードが広まっているので、チケット確認は不要になっていくかもしれませんね。
以前に行った嵯峨嵐山文華館では発行されたチケットにQRが付いていて、展示室前に改札みたいなものがあり、そこにQRコードを読み込んで入りました。
スマホのQRコードで通れれば、さらに便利ですね。
以下に印象に残ったものを書いていきます。
宮川長春|美人文殊普賢図【落書き】
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 宮川長春 | 美人文殊普賢図 | 18世紀 | 装~5/31 |
普賢菩薩と文殊菩薩を美女に見立てた対幅です。
美女に見立てるのは現代まで続く伝統芸能ですな。
普賢菩薩が持っている枝が梅か桜か気になったのですが、明確な情報は見つかりませんでした。
ただ、「普賢桜」という品種が室町時代かるあるようなので、普賢菩薩と桜には関係性がありそうです。
柴田是真|印籠
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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ー | 柴田是真 | 印籠 | 19世紀 | 装~5/31 | ー |
細かいのでわかりにくいですが、花頭窓から照明と筆と紙のある机が見える絵になっています。
根付(画像上部)は楽器をあしらった墨です。
印籠と根付の両方が柴田是真の作でした。
・根付
印籠や巾着などの留め具で、今でいうストラップみたいなもの。
作者不明|扇面近江八景蒔絵印籠
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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ー | 作者不明 | 扇面近江八景蒔絵印籠 | 19世紀 | 装~5/31 | ー |
印籠は近江八景が描かれた扇の絵です。
根付は獅子で、後ろ脚のなかから小さな獅子が顔を出しており、微笑ましいです。
・近江八景
琵琶湖南部の名所を8か所を選んだもの。
元は中国で「瀟湘八景」という画題が伝統的に描かれていたことから、各地で○○八景が作られている。
伝 顔輝|十六羅漢図
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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ー | 伝 顔輝 | 十六羅漢図 | 14~15世紀 | 緑~4/30 | ー |
岩や服の皺の独特な方言は江戸時代の曾我蕭白を思い出しました。
蕭白は顔輝の影響を受けていたようです。
竹内栖鳳|大獅子図
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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ー | 竹内栖鳳 | 大獅子図 | 1902 | 緑~4/30 | ー |
ー | 誉田屋源兵衛 | 帯 大獅子図 | 2022 | 緑~4/30 | ー |
竹内栖鳳のライオンを帯の柄で再現しており、刺繡ではなく織り込んでいるようです。
顔には本物のライオンの毛も使われているそうです。
縦に使っているので、実用ではなく鑑賞用ですね。
それにしても凄い迫力です。
口や歯は日本画らしい筆致が見られますが、写実的にも見えるんですよね。
ちなみに、竹内栖鳳は動物園に通ったほどの動物の名手です。
曜変天目茶碗/油滴小天目茶碗/天目台/帯
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
ー | 作者不明 | 曜変天目茶碗 | 12~13世紀 | 禅~6/30 | ー |
ー | 作者不明 | 油滴小天目茶碗 | 12~13世紀 | 禅~6/30 | ー |
ー | 作者不明 | 曜変天目茶碗 天目台 | 17~18世紀 | 禅~6/30 | ー |
ー | 作者不明 | 油滴小天目茶碗 天目台 | 17~18世紀 | 禅~6/30 | ー |
ー | 誉田屋源兵衛 | 帯 曜変天目茶碗 | 2022年 | 禅~6/30 | ー |
ー | 伝 顔輝 | 十六羅漢図 | 14~15世紀 | 禅~6/30 | ー |
やっぱり曜変天目茶碗は良い。
宇宙みたいで吸い込まれそう。
油滴も綺麗です。
それぞれ専用の天目台も展示されていました。
これだけでも相当な工芸品ですね。
そして、曜変天目茶碗の帯です。
思っていた以上に綺麗に再現されていました。
どんな着物が合うだろうか・・・。
下図も曜変っぽさ写っていますが、実物の方が綺麗です。
実際に天目台を使っている様子を描いた掛け軸もありました。(天目茶碗ではないが)
・曜変天目茶碗
天目茶碗の最上級。
「曜変」は星のような斑文。
「天目」は鉄黒褐色釉(天目釉)を使ったもの。
日本には3つあり、全て国宝です。
作品名 | 所蔵 |
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曜変天目(稲葉天目) | 静嘉堂文庫(東京) |
曜変天目 | 藤田美術館(大阪) |
曜変天目 | 大徳寺龍光院(京都) |
(2024/09/02追記)
静嘉堂文庫美術館は2024/08/13に見てきました。
藤田美術館/藤田邸跡公園
出入り口や窓に旧施設のものが使われていました。
今の建物のデザインとは合ってないので違和感はありますが、単に残すだけではなく利用するというのは面白いです。
隣接の藤田邸跡公園も綺麗でした。
丁度、桜も良い感じです。
以上
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