市立伊丹ミュージアムで開催されている特別展です。
ここは数年振りの来館です。
概要
展覧会 | 期間 |
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市立伊丹ミュージアム [特別展] 虫展 | 2024/08/09 ~ 2024/09/29 ※一部展示替えあり(公式サイト内の出品リストに記載) |
[常設展] 歴史展示 (旧伊丹市立博物館) | – |
旧岡田家・旧石橋家住宅 イベント「鳴く虫と郷町」 | 2024/09/06 ~ 2024/09/15 |
名前の通り、虫に関する作品を展示しています。
画や書物が多いですが、兜、陣羽織、並河靖之の七宝皿などもあります。
巡回展
・なし
※下記の「虫展」とは異なります。
展覧会 | 期間 | 美術館 | 都道府県 |
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[特別展] 虫展 −デザインのお手本− | 2019/07/19〜2019/11/04 | 21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2 | 東京 |
[特別展] 養老孟司と小檜山賢二 虫展 〜みて、かんじて、そしてかんがえよう | 2024/07/13〜2024/08/25 | 大分県立美術館 | 大分 |
感想(虫展)
玉むし物語【落書】
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
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ー | 玉むし物語 | 1893 ※17世紀の写し | 第1章 |
虫の顔がコミカルなデザインで描かれています。
怖いものではなく、身近で親しみのある存在として描いているように感じます。
車を曳いているのはナメクジではなく、カタツムリでした。
カタツムリ=蝸牛なので、牛車とかけています。
絵入諸虫太平記【落書】
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
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ー | 絵入諸虫太平記 上巻・下巻 | 1673-1681年頃 | 第1章 |
ー | 虫歌合 | 江戸中期~後期 | 第5章 |
登場人物の頭に虫が乗っているという、変わった表現です。
現代ならお遊戯会とかでやりそうです。
第5章の「虫歌合」も同じ形式でした。
長谷川雪旦|除蝗録
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
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画:長谷川雪旦 著:大蔵永常 | 除蝗録 | 1826 | 第2章 |
著:大蔵永常 | 除蝗録後編 | 1846 | 第2章 |
「蝗」はイナゴのことです。
イナゴは「稲子」とも書き、稲の天敵です。
鯨の油は害虫駆除の効果があったようで、色んな鯨が描かれてます。
小田切春江|虫送之図
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
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小田切春江 | 《西尾八景》より「虫送之図」 | 江戸末期 | 第2章 |
西尾は現在の愛知県西尾市です。
「須田先盆之夕景」
「蟲送之図」
「伊文山の社」
「祇園会御旅所」
「寄住之松」
「八面山の春興」
の6つあり、残り2つは未完成です。
「虫送り」は虫が発生する土用入り頃に行われた伝統行事です。
稲を虫から守り、五穀豊穣の祈願や、虫の供養の為に行われました。
歌川国芳|蚕家織子之図
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
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歌川国芳 | 蚕家織子之図 | 1830年代 | 第2章 |
養蚕の様子を工程毎に描いた図です。
上垣守国|養蚕秘録
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
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上垣守国 | 養蚕秘録 | 1803 | 第2章 |
養蚕の技術書です。
桑の栽培や、養蚕の道具、注意事項など、養蚕の集大成ともいえる書物で、シーボルトが持ち帰り、「Yo-San-Fi-Rok」として広まり、西洋の製糸産業に影響を与えたそうです。
司馬江漢|紅毛雑話、以顕微鏡観虫類図
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
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画:司馬江漢 編:森島中良 | 紅毛雑話 3巻 | 1787 | 第3章 |
司馬江漢 | 《天球全図》より 「以顕微鏡観虫類図」 | 1796 | 第3章 |
見たことあると思ったら、「紅毛雑話」は先月に国立科学博物館で見てました。
顕微鏡のコーナーだったので、顕微鏡を使って絵を描いたという説明だけでしたが、その絵が「以顕微鏡観虫類図」でした。
記憶があるうちに実際の絵を見れたのはありがたい。
色んな所に行っていると、時々こういう繋がりがあるので嬉しい。
森徹山|仔犬図【落書】
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
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森徹山 | 仔犬図 | 江戸後期 | 第4章 |
つぶらな瞳(に見える)の胸キュンアニマルです。
鍬形蕙斎|鳥獣略画式
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
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鍬形蕙斎 | 鳥獣略画式 | 1797 | 第4章 |
「鳥獣略画式」は色んな生き物を簡略化して描いた作品集です。
カンロの「海苔のはさみ焼き」のデザインにも使われています。
歌川広重|道灌山虫聞之図
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
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歌川広重 | 《東都名所》より 「道灌山虫聞之図」 | 1839-1842 | 第5章 |
花見のように虫の声を聴く「虫きき」を楽しんでいたようです。
道灌山は現在の西日暮里にある高台で、「虫きき」の名所でした。
松尾芭蕉|みのむしの【落書】
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
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松尾芭蕉 | 「みのむしの」句自画賛 | 1688 | 第5章 |
「みのむしの ねを聞にこよ くさの庵」
句の下には座禅をする達磨が描かれています。
三重県伊賀市にある「蓑虫庵」の名前の由来となった句です。
芭蕉の門弟である土芳が草庵を作った際に、祝いの句として贈られたものです。
歌川芳虎|神農諸病退治図
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
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歌川芳虎 | 神農諸病退治図 (諸病諸薬の戦い) | 1847-1852 | 第6章 |
「ウルユス」と言う言葉がわからなかったので、調べてました。
「ウルユ」の3文字を組み合わせると「空」という字になり、「ス」をつけることで「お腹を空にする」という意味になります。
つまり下剤のことでした。
茨木二介元行|針聞書
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
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茨木二介元行 | 針聞書 | 1568 | 第6章 |
茨木(二介)元行は大阪府茨木市の鍼灸師で、鍼治療に関する医学書です。
針の打ち方や、薬などが書かれています。
注目なのは病気の原因が体内の虫にあるとして、虫を独特な絵で表現している所です。
チラシに使われた画は「蟯虫」です。
庚申の夜、人の体内から出て閻魔大王に悪事を告げる虫です。
これは「三尸」と同じで、「三尸九虫」の考え方によると、「蟯虫」も「三尸」の一種に含まれます。
次の「14.画図百鬼夜行」に出てくる「しょうけら」も「三尸」も同一視されています。
三尸を駆除することを「消遣」と言うので、そこからきているのかもしれません。
・三尸
庚申の夜、人の体内から抜け出して天帝(閻魔大王とも)に人の罪を告げ、寿命を縮めると言われている。
庚申の夜は眠らずに過ごす「庚申待」という行事がある。
部位により3種類に分かれている。
上尸:首から上
中尸:臓器
下尸:腰から下
・三尸九虫
隋の医師である巣元方が書いた「諸病源候論」で上げられた9種類の虫。
1.伏虫 2.蛔虫 3.白虫
4.肉虫 5.肺虫 6.胃虫
7.弱虫 8.赤虫 9.蟯虫
鳥山石燕|画図百鬼夜行
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
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鳥山石燕 | 画図百鬼夜行 | 1776 | 第6章 |
鳥山石燕 | 百鬼拾遺(今昔) | 1781 | 第7章 |
文庫本の「画図百鬼夜行全画集」にどちらも収録されています。
<画図百鬼夜行>
52頁:しょうけら、53頁:ひょうすべ
しょうけらは「三尸」という人の体内にいる虫と同一視される説もあります、
三尸について前の「13.針聞書」を参照。
石燕の絵では屋根から人を監視しているようにも見えます。
バンドの陰陽座の曲にも「しょうけら」があり、歌詞の中に「三尸」も出てきます。
<今昔百鬼拾遺>
168頁:大座頭、169頁:火間蟲入道
ゴキブリを「火虫」と呼ぶことがあるので、ゴキブリという説があります。
石燕の絵では燈の油を舐めている姿で描かれているので、油もゴキブリっぽい印象ですね。
感想(歴史展示)
籾痕付きの壺/高坏
展示品 | 年 | 備考 |
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籾痕付きの壺 | 弥生時代後期 | 縄文〜古墳時代 |
高坏 | 弥生時代後期 | 〃 |
虫眼鏡の中に見える白い粒みたいなのが籾痕かな?
伊丹廃寺
展示品 | 年 | 備考 |
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塼仏 壁体 重弧文軒平瓦 単弁十六葉蓮華文軒丸瓦 | 奈良時代 | 古代・中世 |
伊丹廃寺跡の発掘品です。
塔と金堂を左右に配置し、廻廊で囲む法隆寺式の伽藍だったようです。
壁体は金堂の一部で、金箔が残っています。
歌川国芳|荒儀摂津守村重/伊丹荒木軍記
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
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歌川国芳 | 《太平記英雄伝》より 荒儀摂津守村重 | 1830年代 | 近世 |
ー | 伊丹荒木軍記 | 1865 |
荒木村重は学校の授業では見た覚えがなかったんですが、インパクトのある武将なので、一度知ったら忘れません。
有名なのは、信長を裏切り、妻子を残して逃亡し、妻子を含む人質が処刑されたことです。
荒木は裏切り後も8年ほど生き延び、晩年は茶人としても活動しています。
また、処刑から逃れた子も何人かいて、その内の一人に名著「奇想の系譜」の一人としても知られる岩佐又兵衛がいます。
・「奇想の系譜」(1970年刊行)
美術史家の辻惟雄による美術書。
江戸時代の個性的な画家を紹介し、再評価するきっかけとなった。
<紹介された画家>
岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曾我簫白、長沢芦雪、歌川国芳。
木村孔恭|日本山海名産図会/銘酒づくし
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
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木村孔恭(木村兼葭堂) | 『日本山海名産図会』巻之一 | 1799 | 近世 |
ー | 銘酒づくし | 17~18世紀 |
伊丹は清酒発祥の地と言われています。
一時期は日本一の生産地でしたが、江戸後期に灘にシェアを奪われ、明治の頃には衰退していたようです。
「日本山海名産図会」では伊丹の酒造りの様子として「伊丹酒造 米あらひの図」が描かれています。
「銘酒づくし」を見ると、伊丹がいかに酒造りが盛んだったかがわかります。
最上段は東の小結の池田を除けば全て伊丹です。
その下の段は全て伊丹、その下は灘が多いですね。
鬼貫、春卜|四季花の画巻/猪名野神社神幸絵
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
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賛:上島鬼貫 画:大岡春卜 | 四季花の画巻(複製) | 1729 | 近世 |
ー | 猪名野神社神幸絵(第2巻)(複製) | 1772 |
鬼貫(1661-1781)は伊丹出身の俳人です。
松尾芭蕉(1644-1694)とも交流があり、「東の芭蕉 西の鬼貫」とも言われました。
感想(旧岡田家・旧石橋家住宅)
歴史ある建物です。
月見の季節と言うことで、団子とススキが置かれてました。
お月見の時に里芋などを供える風習があり、「芋名月」とも呼ばれます。
2006年からやっている「鳴く虫と郷町」という虫の声を楽しむイベントが開催中でした。
イオンモールも会場の一つになっており、虫かごを置いているコーナーがありました。
松尾芭蕉|山吹や
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
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松尾芭蕉 | 「山吹や」(句自画賛) | 1690-1691年頃 | 旧石橋家住宅(2階座敷) |
「山吹や宇治の焙炉のにほふ時」
焙炉は茶を乾燥させる時に使う道具です。
宇治はお茶所なので、茶の香りが町に広がっている様子を読んでいますね。
落款には「芭蕉自画」と自分で描いたことを明記しています。
伊丹郷町遺跡の出土品/引き札
展示品 | 年 | 備考 |
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ままごと道具 人形 箱庭道具 | 江戸中期など | 旧石橋家住宅(2階ツシ) ツシ=天井の低い2階 |
引き札 | 江戸~大正 | 〃 |
展示されている出土品は江戸時代の玩具です。
引き札は広告の一種です。
以上
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