奈良にある松柏美術館で開催されている企画展の感想です。
松柏美術館は上村松園、松篁、淳之の上村三代の作品や資料を展示しています。
学園前駅の周辺にある3館をはしごしてきました。
- 松柏美術館「松篁、松園を語る 松園、松篁を語る」
- 大和文華館「染織品と松浦屏風」
- 中野美術館「コレクションの精華」
概要
展覧会 | 期間 |
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[企画展] 松篁、松園を語る 松園、松篁を語る | 2023/03/28 ~ 2023/06/25 前期:03/28~05/07 後期:05/09~06/25 |
上村松園、松篁の作品がメインの企画展になります。
タイトル通り、松園と松篁がお互いのことを語った内容についても紹介されており、作品の間にその文章がキャプションボードで貼られています。
(文章と作品は直接関係無さそうです)
一部、展示替えがあります。
また、企画展とは別で上村淳之の作品も特別展示されています。
ここは常に上村三代の作品が楽しめますね。
巡回展
・なし
感想
2人の知らなかった一面が見れて、興味深かったです。
文字を読む量が多かったので、いつもより見るのに時間がかかりました。
松園は浮世絵など鈴木春信は上品として好んでいたようですが、歌川国貞は下品として良く思っていなかったようです。
まぁ、国貞の絵はエンタメ感が強い気がするので、松園の絵の印象とは違う気がしますね。
以下に印象に残ったものを書いていきます。
上村松園|娘
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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ー | 上村松園 | 娘 | 1926 | 通期 | ー |
パブリックドメイン美術館
松園と言えば美人画。
屏風仕立てで画面が大きいので、今回の展示の中では一番美人画を堪能できます。
着物も綺麗なんです。
ちなみに、同じ構図のものがもう一枚あります。
パブリックドメイン美術館
徳川家の依頼で、娘が高松宮家へ嫁ぐ際の嫁入り道具として描かれたものです。
元は「娘」にもう1点加えて二曲一双にする予定でしたが、「娘」が海外の巡回展中だった為、新たに描き直したのが「春秋」です。
婚礼用ということで、帯が孔雀になったり、色が華やかになっています。
上村松園|重衡朗吟(下絵)【落書き】
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 上村松園 | 重衡朗吟(下絵) | 1898 | 通期 | 本画の所蔵先不明 |
源頼朝の捕虜として京都にいた頃の様子です。
雅楽を演奏するのですが、曲名の「五常楽」を「後生楽」、「皇麞急」を「往生急」と洒落たようです。
この先の自分と平家の行く末を憂いているようなネガティブな洒落ですね。
重衡は南都焼討をした武将で、南都側(東大寺、興福寺など)から恨まれてました。
この4年後には南都側に引き渡され、斬首され、さらし首になってます。
本画の所属先はわかりませんでした。
個人所蔵かもしれません。
また、ネットで調べてみると、「重衡朗詠」と書かれている場合もあるようです。
上村松園|焔(下絵)【落書き】
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 上村松園 | 焔(下絵) | 1918 | 通期 | 本画は東京国立博物館 |
謡曲「葵上」に取材した作品です。
源氏物語に出てくる六条御息所を描いています。
下絵だと目とまつ毛が漫画チックに見えた。
少女漫画とかでありそう。怖い感じも含めて。
上村松園|花がたみ
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 上村松園 | 花がたみ | 1915 | 通期 | ー |
謡曲「花筐」から取材したもので、狂人をモデルにしています。
表情については能面から着想を得ているようです。
青空文庫で上村松園本人の話を見ることができます。
上村松篁|母子の羊【落書き】
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 上村松篁 | 母子の羊(下絵) | 1937 | 通期 | ー |
– | 上村松篁 | 母子の羊 | 1937 | 通期 | ー |
穏やかな羊の母子です。
下絵は母羊が立ってましたが、本画では座って子羊達を見守っている感じになりました。
下絵がいくつかあったので、見比べると面白いです。
上村松篁|万葉の春
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 上村松篁 | 万葉の春 | 1970 | 通期 | ー |
花が色鮮やかで綺麗でした。
以上
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