【美術】特別展「綺羅めく京の明治美術ー世界が驚いた帝室技芸員の神業」京都市京セラ美術館

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綺羅めく京の明治美術
綺羅めく京の明治美術

京都市京セラ美術館の特別展の感想です。
久し振りの美術鑑賞なので、行きやすくて色々見れそうな所にしました。

概要

展覧会期間
[特別展]
綺羅めく京の明治美術
ー世界が驚いた帝室技芸員の神業
2023/07/23 ~ 2023/09/19
 前期:07/23 ~ 08/21
 後期:08/23 ~ 09/19

明治美術の中でも京都の「帝室技芸員」の作品を集めた特別展です。

明治時代の作品なので、いわゆる超絶技巧と呼ばれる作品も多数展示されています。
全体的に質が高いので、日本美術に興味があればお勧めです。

美術好きからすれば有名な作家さんばかりですが、一般的の知名度となると微妙な所です。
作品も誰もが知っている有名な作品があるわけではありません。

一番のお勧めは並河靖之なみかわやすゆきの七宝です。

作家

<日本画>
森寛斎もりかんさい幸野楳嶺こうのばいれい川端玉章かわばたぎょくしょう岸竹堂きしちくどう
望月玉泉もちづきぎょくせん今尾景年いまおけいねん熊谷直彦くまがいなおひこ野口小蘋のぐちしょうひん
竹内栖鳳たけうちせいほう富岡鉄斎とみおかてっさい山元春挙やまもとしゅんきょ

<織物>
五世 伊達弥助だてやすけ/二代 川島甚兵衞かわしまじんべえ

<金工>
加納夏雄かのうなつお

<陶磁>
三代 清風與平せいふうよへい/初代 宮川香山みやがわこうざん
初代 伊東陶山いとうとうざん/初代 諏訪蘇山すわそざん

<七宝>
並河靖之なみかわやすゆき


■補足

・帝室技芸員とは
戦前の美術家の顕彰制度です。
美術団体の旧新の対立があり、旧派が宮内省に庇護を求めたことから、帝室技芸員制度が始まったそうです。
新派の鑑画会には狩野芳崖、下村観山、橋本雅邦らがいるのですが、橋本雅邦が選ばれてるのは対立を避ける為でしょうかね。
こうした美術家の顕彰制度は後の文化勲章や需要無形文化財に引き継がれます。


■帝室技芸員の略歴

内容
1887・旧派の龍池会と、新派の鑑画会の対立
・新派が文部省系であり、革新的な運動に
 危機感をいだいた旧派が宮内省に庇護を求める
・日本美術協会を発足
・帝室技芸員の前身とされる「宮内省工芸員」を認定
1890・帝室技芸員制度の開始
・最初に10名を認定
 田崎草雲/森寛斎/柴田是真/狩野永悳/
 守住貫魚/伊達弥助/加納夏雄/橋本雅邦/
 高村光雲/石川光明
1893・4名追加
 野口幽谷/滝和亭/幸野楳嶺/清風
1896・11名追加
 岸竹堂/山名貫義/川端玉章/伊藤平左衛門/
 海野勝珉/宮川香山/濤川惣助/並河靖之/
 鈴木長吉/川之邊一朝/池田泰真
1898・1名追加
 川島甚兵衛
1900・1名追加
 荒木寛畝
1904・4名追加
 熊谷直彦/望月玉泉/今尾景年/野口小蘋
1906・7名追加
 竹内久一/白山松哉/香川勝広/
 宮本包則/中井敬所/月山貞一/岸光景
1910・2名追加
 黒田清輝/小川一真
1913・2名追加
 竹内栖鳳/塚田秀鏡
1917・11名追加
 寺崎広業/小堀鞆音/川合玉堂/下村観山/
 富岡鉄斎/山元春挙/新海竹太郎/伊東陶山/
 諏訪蘇山/平田宗幸/佐々木岩次郎
1931・1名追加
 横山大観
1934・10名追加
 橋本関雪/安田靫彦/菊池契月/和田英作/
 藤島武二/岡田三郎助/山崎朝雲/
 板谷波山/香取秀真/清水南山
1944・15名追加
 西山翠嶂/堂本印象/鏑木清方/上村松園/
 前田青邨/松林桂月/小林古径/小室翠雲/
 金山平三/中沢弘光/梅原龍三郎/
 安井曾太郎/南薫造/朝倉文夫/
 平櫛田中
1947戦後の宮内省の改変に伴い廃止

感想

明治の日本美術は見応えがあります。
混雑もしてなくてじっくり見れて良かったです。

コロナ以降はどこも観覧料が上がってますね。
コロナ対策の費用は掛かるし、人も減ってますから仕方ないと思います。

ゆっくり見れるのは嬉しいので、これ位の値上げは構わないのですが、美術鑑賞の敷居が高くなってしまうことが心配ではあります。

最初は展覧会の趣旨を理解しないまま見てました。

野口小蘋   しょうひんはあるのに上村松園がないから帝室技芸員ではないのか、と思ったのですが調べると認定はされていました。
ただ、認定されたのが1944年の昭和だったので、今回は対象外になったのだと納得しました。
明治時代も作品は残していますが、大正元年で36歳なので、画家としてはまだまだこれからという感じでしょうか。

代わりではないですが、師匠の幸野楳嶺の「舞妓鳥籠図」が綺麗だったので良しとします。

以下に印象に残ったものを書いていきます。


川端玉章|ナイアガラ瀑布図【落書】

No作家名作品名期間備考
19川端玉章かわばたぎょくしょうナイアガラ瀑布ばくふ明治後期前期
川端玉章「ナイアガラ瀑布図」
川端玉章「ナイアガラ瀑布図」
制作情報(※以降の落書きも共通)

[制作日]
2022年08月11日 落書き

[道具]
・鉛筆
・ノート(リングノート)


画像あり

ネット情報からは渡航歴も無かったので、写真を見て描いたのでしょう。

川端玉章|八幡太郎図【落書】

No作家名作品名期間備考
21川端玉章かわばたぎょくしょう八幡太郎図はちまんたろうず1892前期
川端玉章「八幡太郎図」
川端玉章「八幡太郎図」
画像あり

(参考)「知られざる明治期日本画と「一高」の倫理・歴史教育」のチラシ(PDF

鎧が細かく描かれていて、見応えがあります。

望月玉泉|雪中芦雁図屏風【落書】

No作家名作品名期間備考
35望月玉泉もちづきぎょくせん雪中芦雁図屏風せっちゅうろがんずびょうぶ1895前期
望月玉泉「雪中芦雁図」
望月玉泉「雪中芦雁図」
画像あり

毛並みの描写が良いです。
柔らかさと軽さを感じます。

竹内栖鳳|熊【落書】

No作家名作品名期間備考
62竹内栖鳳1910通期
竹内栖鳳「熊」
竹内栖鳳「熊」1910年
画像あり

キョトンとした表情が可愛い作品です。
竹内栖鳳は動物園に通っていたので、動物の絵は多いですね。

熊の絵は珍しいかな。

宮川香山|褐釉蟹貼付台付鉢【落書】

No作家名作品名期間備考
103宮川香山みやがわこうざん褐釉蟹貼付台付鉢かつゆうかにはりつきだいつきばち1881通期
宮川香山「褐釉蟹貼付台付鉢」
宮川香山「褐釉蟹貼付台付鉢」
画像あり

今回の展示の中で一有名かもしれません。
宮川香山はシンプルで綺麗な作品も多いですが、こういう高浮彫たかうきぼりが凄すぎてこっちの印象が強いです。

並河靖之

No作家名作品名期間備考
111~125並河靖之全般通期

久し振りに並河靖之の七宝を見ました。
やっぱり凄いです。

細かい上に一つ一つの線が綺麗なんです。
底の方もしっかり柄が描かれており、隅から隅まで目が行き届いています。
現代の作家さんの七宝も見たことありますが、少なくともその時は並河靖之の方が良く見えましたね。


以上

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