国立国際美術館で開催されている特別展です。
マヤ、アステカ、テオティワカンを中心に、古代メキシコの出土品が展示されます。
概要
※会期終了後に閉鎖予定
展覧会 | 期間 |
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[特別展] 古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン | 2024/02/06 ~ 2024/05/06 |
紀元前1000年~16世紀にかけての古代メキシコの出土品141点が展示されています。
古代メキシコの大規模な特別展は珍しく、マヤ文明の「赤の女王」が初来日となります。
撮影もOKです。
・メキシコ文明
文明 | 年代 |
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オルメカ メキシコ湾岸部 | 前1500 前400 |
サポテカ アオハカ地域 | 前800 900 |
ミシュテカ アオハカ地域 | 900 1521 |
テオティワカン メキシコ中央部 | 前100 550 1-150年頃 太陽のピラミッド/月のピラミッド 200-250年頃 羽毛の蛇ピラミッド 300-550年頃 死のディスク石彫 |
トルテカ メキシコ中央部 | 800 1150 |
アステカ メキシコ中央部 | 1325 1521 1390年頃 テンプロ・マヨール 1469-86年頃 鷲の戦士像 |
マヤ メキシコ東部 | 前1200 1697 683年 碑文の神殿 7世紀後半 赤の女王 |
代表的な遺跡は
テオティワカンの「太陽のピラミッド/月のピラミッド/羽毛の蛇ピラミッド」、
アステカの「テンプロ・マヨール(大神殿)」、
マヤの「碑文の神殿(パカル王墓)」
です。
展示室では壁に画像が貼られて現地の雰囲気を感じられます。
巡回展
感想
古代メキシコ文明は有名ではありますが、どこがどれだったかややこしい所もあるので、まとまって見れるのは良いですね。
漫画「スプリガン」でパレンケの仮面が出てきたてたので、事前に読み返しました。
「赤の女王」の夫であるパカル王の仮面です。
【漫画情報】たかしげ宙、皆川亮二|スプリガン
超古代文明の遺産をテーマにしたSF系のバトル漫画。
B6判(元) | 第1巻 仮面伝説①~⑤ 第2巻 仮面伝説⑥~⑪ |
保存版/文庫版 | 第1巻 仮面伝説①~⑥ 第2巻 仮面伝説⑦~⑪ |
以下に印象に残ったものを書いていきます。
装飾ドクロ
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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19 | ー | 装飾ドクロ | 1469-1481 アステカ文明 | ー | I 古代メキシコへのいざない |
死者の世界の神、ミクトランテクトリ神です。
目は貝殻と黄鉄鉱のようです。
何となくメキシコっぽい感じがしますね。
ジャガーの土器
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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2 | ー | ジャガーの土器 | 600-950 マヤ文明 | ー | I 古代メキシコへのいざない |
デザインが可愛い。
コップや花瓶にしても良さそう。
ジャガーは強さや権威の象徴であり、神として信仰されていたようです。
漫画「スプリガン」では敵に人豹が出てきてたけど、可愛くはなかった。
球技をする人の土偶/ユーゴ/ゴムボール
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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10 | ー | 球技をする人の土偶 | 600-950 マヤ文明 | ー | I 古代メキシコへのいざない |
11 | ー | ユーゴ(球技用防具) | 600-950 中央ベラクルス | ー | I 古代メキシコへのいざない |
12 | ー | ゴムボール(民族資料) | 現代 マヨ族 | ー | I 古代メキシコへのいざない |
腰でボールを打つ球技が行われていたそうです。
娯楽目的もありますが、人身供儀(生贄)を決める儀式的な目的でも行われてたようです。
No.78では球技をしている様子の石板が展示されているので要チェックです。
写真を撮り忘れたのですが、「ユーゴ」と呼ばれる石製の大きな防具とゴムボールも展示されていました。
石製の防具を使っていたかどうかは不明だそうです。
ゴムボールが25cm位あったのですが、空気の入ったボールではないだろうから、かなり重そうでした。
これを跳ね返すなら固くて頑丈なものではないと痛そうです。
土偶の視線が上を向いているので、ボールを高く飛ばしていそうですし、石製を使っていてもおかしくない気がしました。
ちなみに、古代文明の一つであるオルメカ文明の「オルメカ」が「ゴムの人々」と言う意味だそうです。
メソアメリカでゴムが重要な存在だったことがわかりますね。
アステカ時代の球技「ウラマ」を再現した動画ありましたので、載せておきます。
余談ですが、漫画「ジャングルの王者ターちゃん」(13巻)で手作りのゴムボールをシュートして跳ね返ってきたボールであばらが折れるというギャグシーンがありました。
「バカでしょ 中までみっちりゴム」とツッコまれてましたね。
テクパトル(儀礼用ナイフ)
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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14 | ー | テクパトル(儀礼用ナイフ) | 1502-1520 アステカ文明 | ー | I 古代メキシコへのいざない |
15 | ー | テクパトル(儀礼用ナイフ) | 1502-1520 アステカ文明 | ー | I 古代メキシコへのいざない |
流石に実用品ではなく、儀礼用のナイフです。
何かの動物のようにも見えますが、ユーモアのあるデザインです。
死のディスク石彫
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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23 | ー | 死のディスク石彫 | 300-550 テオティワカン文明 | ー | テオティワカン 神々の都 |
舌を出した頭蓋骨。
日没は死、日の出は再生を意味するとされていたので、これは日没の太陽と考えられています。
背景は「太陽のピラミッド」です。
羽毛の蛇神石彫
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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40 | ー | 羽毛の蛇神石彫 | 200-250 テオティワカン文明 | ー | テオティワカン 神々の都 |
羽の生えた蛇は古代メキシコにおける神のような存在で、マヤでは「ククルカン」、アステカでは「ケツァルコアトル」の名で知られています。
羽のある蛇はオルメカ文明の頃から見られるようです。
背景は「羽毛の蛇ピラミッド」です。
香炉
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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50 51 | ー | 香炉 | 350-550 テオティワカン文明 | ー | テオティワカン 神々の都 |
デザインが凝っていますね。
日本の火焔型土器も複雑な模様でしたが、こちらは沢山のパーツを組み立てたような形状です。
そして、顔のようなものがついています。
No.50は戦士の魂を鎮める為、No.51は祖先を祀る儀礼の為に使われたと考えられています。
マヤ文明の香炉台(No.94,95,96)も展示されているので、比較してみると面白いです。
鏡の裏
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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57 | ー | 鏡の裏 | 450-550 テオティワカン文明 | ー | テオティワカン 神々の都 |
黄鉄鉱で作られた鏡の裏に貼られた土製の装飾です。
日本や中国だと鏡と言えば銅鏡ですが、土は見たことが無かったです。
猿の神とカカオの土器蓋
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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85 | ー | 猿の神とカカオの土器蓋 | 600-950 マヤ文明 | ー | マヤ III-3 |
角刈りのオジサンのような猿の周りをカカオなどで飾られています。
カカオ栽培が盛んだったようで、カカオは重要な作物だったようです。
飲料にしたり、通貨としても使われたようです。
以前は4000年前のメキシコ周辺がカカオ発祥の地と言われていたようですが、エクアドルのマヨ・チンチペ文明でカカオの成分が残る土器が発見され、今は5300年前のエクアドルがカカオ発祥の地とされています。
ちなみに、チョコレートの最初は「ショコラトル」と呼ばれる飲料でした。
固形のものは1847年にイギリスで誕生しました。
トニナ石彫171
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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87 | ー | トニナ石彫171 | 727 マヤ文明 | ー | マヤ III-3 |
No.10.11.12で土偶、防具、ボールが展示されていましたが、実際に競技をしている様子が描かれています。
ボールが大き過ぎて吃驚してます。
このサイズのゴムの塊だととんでもなく重そう。
96文字の石板
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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89 | ー | 96文字の石板 | 783 マヤ文明 | ー | マヤ III-3 |
文字が書かれた石板です。
一つ一つが複雑で、動物も描かれています。
見ているとビスケットみたいに見えてきた。
パカル王とみられる男性頭像(複製)
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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90 | ー | パカル王とみられる男性頭像(複製) | 620-683 マヤ文明 | ー | マヤ III-3 |
パカル王[603-683]はパレンケ最盛期の頃の王で、「赤の女王」(No.99-106)の夫です。
額が平になっていて、後頭部が長くなっています。
人はトウモロコシから生まれたという考え方があり、形を似せたと言う説があるようですが、湾曲しているので違う、と言う意見もあるようです。
香炉台
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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94 95 96 | ー | 香炉台 | 680-800 マヤ文明 | ー | マヤ III-3 |
テオティワカンの香炉(No.50,51)とは違ったデザインですが、こちらも凝っていますね。
こっちの方が中央に大きく顔を配置していること、全体的に縦長の長方形になっていることなど、統一感があるデザインです。
赤の女王
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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99 100 101 102 103 104 105 106 | ー | 赤の女王のマスク 赤の女王の頭飾り 赤の女王の冠 赤の女王の首飾り 赤の女王の胸飾り 赤の女王のベルト飾り 赤の女王の腕飾り 赤の女王の足首飾り | 7世紀後半 マヤ文明 | ー | マヤ III-3 |
107 | ー | 小マスク | 7世紀後半 マヤ文明 | ー | マヤ III-3 |
108 | ー | 貝 | 7世紀後半 マヤ文明 | ー | マヤ III-3 |
109 | ー | 小像 | 7世紀後半 マヤ文明 | ー | マヤ III-3 |
110 | ー | 針 | 7世紀後半 マヤ文明 | ー | マヤ III-3 |
今回の展覧会の一番の見所です。
発見された時に赤い辰砂で覆われていた為、「赤の女王」と呼ばれています。
翡翠が沢山使われていて、埋葬された人が特別な存在だったことが伝わります。
赤は血の色、緑は命の色で、両方とも再生や復活の意味があったようです。
辰砂には防腐効果もあるようですが、実際に防腐目的で使っていたかはわかりません。
チャクモール像
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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116 | ー | チャクモール像 | 900-1100 マヤ文明 | ー | マヤ III-5 |
腹が平べったく皿状になっていて、神への捧げ物を置いたそうです。
胸元の顔がコミカルです。
チャクモール像はメソアメリカ各地で作られました。
背景はチチェン・イツァにある「戦士の神殿」です。
背景の中にも少しだけ像が見えています。
鷲の戦士像
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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123 | ー | 鷲の戦士像 | 1469-1486 アステカ文明 | ー | アステカ IV-1 |
腹と膝で分かれているが、当時からパーツごとで作って組み立てたのかな?
仏像だと損傷した部分を後補することがあり、色が違って見えるので気になりました。
エエカトル神像
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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128 | ー | エエカトル神像 | 1325-1521 アステカ文明 | ー | アステカ IV-2 |
風の神で、くちばしのようなものを付けた口が特徴的です。
顔の上半分が漫画「テラフォーマーズ」の敵キャラに見えて、少し嫌かも。
テスカトリポカ神の骨壺
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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134 | ー | テスカトリポカ神の骨壺 | 1469-1481 アステカ文明 | ー | アステカ IV-2 |
中央にテスカトリポカ、後ろには羽のついた蛇が彫られています。
戦死した指揮官の骨が納められていたそうです。
テスカトリポカ神とウィツィロポチトリ神の笏形飾り
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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140 | ー | テスカトリポカ神とウィツィロポチトリ神の笏形飾り | 1486-1502 アステカ文明 | ー | アステカ IV-2 |
テスカトリポカは「煙を吐く鏡」を意味し、夜空の神、太陽神、などの神とされ、ウィツィロポチトリは「蜂鳥の左」を意味し、太陽神、軍神、狩猟神、などの神とされる。
どちらかの神をモチーフにしているようですが、詳しくはわかりません。
丸い部分が太陽で、下の方は武器(槍)をモチーフにしていそう。
壁には神々の絵が描かれてました。
「ボルボニクス絵文書」と言う絵文書に描かれた絵のようです。
以上
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