千葉市の亥鼻城址にある博物館です。
千葉市の観光は初めてなので、まずは博物館で千葉の歴史について学びます。
概要
亥鼻城(通称:千葉城)は1516年に廃城になっており、1967年に建てられた模擬天守(場所や形式が異なる)となります。
千葉氏を中心とした展示で、現代までの千葉の歴史を知ることができます。
有名な絵師の浮世絵も見れるので、日本画や歴史が好きならお勧めです。
入館は無料です。
感想(1階 千葉氏入門Q&A)
1階 企画展
千葉氏についてのQ&Aのパネル展示です。
地名としては残っていますが、歴史の授業で「千葉氏」を覚えた記憶がありません。
鎌倉から戦国時代までは有力な大名だったようですが、北条氏の配下になった為、秀吉に負けて滅亡したとのことです。
妙見を進行しており、「月星紋」、「九曜紋」などの星にまつわる家紋を使っています。
近くの千葉神社も千葉氏に縁のある神社で神紋に「三光紋(月星紋)」、社紋に「九曜紋」を使っています。
Q3にも書かれていますが、坂本龍馬が学んだ千葉道場も千葉氏の子孫でした。
そして、千葉道場の流派は「北辰一刀流」です。
「北辰」とは北極星のことで、妙見菩薩は北辰菩薩とも言います。
「北辰一刀流」の名称が妙見信仰に由来していたとは知りませんでした。
2025年10月下旬まで工事中です。
参拝はできます。
今しか見れない姿、と思うことにします。
感想(2階 日本の武器・武具)
火縄銃
「和泉名所図会」で「堺津鳥銃鍛冶」の頁が紹介されています。
「阿る武士 堺尓て 鉄砲越買ん」と書かれているのがわかります。
堺は今でも包丁などの鍛冶が残っており、海外からも注目されています。
刀
作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|
伝来国真 | 太刀 | 江戸 | ー |
ー | 糸巻太刀拵 | – | ー |
高橋貞次 | 脇差 | 1964 | ー |
高橋貞次 | 脇差 | 1968 | ー |
石井昭房 | 短刀 | – | ー |
脇差の彫刻が良いです。
左側は倶利伽羅龍剣で、三鈷柄剣に龍が巻き付いています。
右側は竹です。
根元のタケノコが珍しくて可愛いです。
感想(3階 千葉氏の興亡と妙見信仰)
千葉氏の初代は平忠常です。
(実質の初代は後の平常重とも)
平将門は忠常の叔父にあたります。
浮世絵もいくつか展示されています。
有名な絵師も多いので、浮世絵好きには穴場の施設かもしれません。
蒙古襲来絵詞(複製)
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
– | ー | 蒙古襲来絵詞(複製) | 鎌倉時代 | ー |
教科書でもお馴染みの場面ですね。
てつほう(鉄砲)が描かれています。
この頃は炸裂弾のようなものでした。
千葉氏は肥前(佐賀県)に領地を持っており、元寇の際には幕府の命で元軍と戦ったそうです。
元寇を描いた漫画「アンゴルモア」でも千葉頼胤が出てきます。
博多編の1巻の後半辺りから登場します。
歌川芳虎|藤白川合戦之図
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
4 | 歌川芳虎 | 藤白川合戦之図 | 1856 | ー |
中央の黒い馬に乗った武将が平将門です。
楊洲周延|総州猿島内裏図
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
5 | 楊洲周延 | 総州猿島内裏図 | 江戸時代 | ー |
平将門が造った内裏(相馬御所)です。
現在の茨城県坂東市です。
奥で立っているのは百足退治などの武勇伝が有名な藤原秀郷(俵藤太/田原藤太)です。
将門は平貞盛、藤原秀郷、藤原為憲の連合軍に敗れますが、対決前に会見したという伝承があります。
歌川国芳の代表作である「相馬の古内裏」はこの廃屋です。
将門の子である滝夜叉姫、平良門が仲間を集めて謀反を起こそうとしていて、大宅太郎光国が退治しようとしている場面です。
話自体は後世の創作ですね。
歌川芳員|鎌倉大評定
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
22 | 歌川芳員 | 鎌倉大評定 | 1858 | ー |
中央の一番上に千葉常胤がいます。
忠常から5代目です。
歌川国芳|上総介広常
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
26 | 歌川国芳 | 上総介広常 | 江戸時代 | ー |
忠常から7代目の頼朝に仕えた武将で、那須で妖狐退治にも参加しました。
妖狐(九尾の狐)は倒された後に「殺生石」となったという伝説が残っています。
ロックバンドの陰陽座が九尾をテーマに曲を作っています。
3曲構成なので通しで聴いて欲しい。
月岡芳年|頼朝公大井川行烈之図
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
27 | 月岡芳年 | 頼朝公大井川行烈之図 | 1863 | ー |
頼朝とありますが、13代将軍の徳川家茂の上洛を描いているそうです。
同じ題材で他の絵師も描いています。
将軍の上洛が3代将軍の徳川家光以来だったこともあり、当時の一般人にとっても大きな出来事だったんだと思います。
歌川芳員|建武二年 新田足利三井寺合戦図
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
31 | 歌川芳員 | 建武二年 新田足利三井寺合戦図 | 江戸時代 | ー |
新田義貞軍に属していた千葉貞胤が参加しています。
右画面の左側の下から2人目です。
その後ろの連銭葦毛(丸い模様がある)に乗る位の高そうな武将は脇屋左衛門佐義助と書かれていますが、新田義貞の弟(新田義助)でした。
歌川広重|奥州相馬妙見祭
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
79 | 歌川広重 | 奥州相馬妙見祭 其一行列之図 其二野馬追之図 | 江戸時代 | ー |
相馬野馬追は今も福島県南相馬市で行われています。
平将門が野馬を敵に見立てて、軍事演習をしたことが起源と言われています。
感想(4階 近現代の千葉)
明治以降の歴史です。
戦争関連の資料や、昭和を再現した部屋があります。
レコード(南部坂/日章旗の下に/インディアン・ラヴコール)
歌手名 | 曲名 | 年 | 備考 |
---|---|---|---|
東家楽燕 | 浪花節 南部坂(四) | 1927 | ニッポノホン 15514-B |
四家文子・波岡惣一郎 日本ビクター合唱団 | 日章旗の下に | 1938 | ビクターレコード J-54300 T-632 日の丸行進曲のB面 |
曲:Rudolf Friml 詞:Otto Harbach, Oscar Hammerstein 歌:Nelson Eddy, Jeanette MacDonald | 映画「ローズ・マリー」より インディアン・ラヴコール | 1936 | NIPPON TELEFUNKEN |
全部、知りませんでした。
東家楽燕は明治から昭和にかけて活躍した浪曲師。
音源は見つからなかったので、同じ曲と思われるものを載せておきます。
時代的に戦争や国家を意識した曲ですね。
国旗に敬意を持つこと自体は戦争とか関係なく国民としてはあるべきと思います。
この曲は死ぬことを賛美しているような歌詞があるので、TVや公共の場で聴くような娯楽音楽ではありませんが、歴史としてはこういう曲が作られていたことは知っておくべきだと思います。
「ローズ・マリー」は1924年初演のミュージカルを映画化したものです。
この曲は挿入歌です。
レコードに馴染みがないので、再生する所を見れると嬉しいかな。
中村直人|山西省 太原平野にて【落書】
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
– | 中村直人 | 山西省 太原平野にて | 1937 | ー | ー |
中村直人は長野県出身の彫刻家、画家です。
1937年に中国へ従軍しています。
古い民家を描いたことで知られる洋画家の向井潤吉もこの時に参加していました。
向井潤吉の民家の絵は以前から好きで、世田谷にあるアトリエ館にも行ったことがあります。
感想(5階 展望)
海が見えます。
工場が並んでいるのが見えますね。
この辺りも京葉工業地域に含まれます。
以上
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