京都文化博物館の特別展、企画展の感想です。
日本のシュルレアリスムをテーマにした展覧会です。
概要
展覧会 | 期間 |
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[企画展] 『シュルレアリスム宣言』100年 シュルレアリスムと日本 | 2023/12/26 ~ 2024/02/04 前期:09/23~01/08 後期:01/10~02/04 |
[企画展] シュルレアリスムと京都 | 2023/12/23 ~ 2024/02/18 |
[企画展] 日本考古学の鼻祖 藤 貞幹展 | 2023/12/09 ~ 2024/02/04 |
[特別展] Kyoto Art for Tomorrow 2024 ―京都府新鋭選抜展― 特別展示「まれびと」 | 2024/01/07 ~ 2024/02/04 |
日本のシュルレアリスムの作品と、関連する書物が展示されていて、日本におけるシュルレアリスム運動の歴史を知れる展示でした。
京都展では2階の展示スペースで京都でのシュルレアリスムの特集展示も同時開催されていました。
江戸時代の学者である藤貞幹の展示と、京都の若手の作家の展示も開催中でした。
■略歴
年 | 内容 |
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1924 | フランスの詩人アンドレ・ブルトンが「シュルレアリスム宣言」を刊行 |
1927 | ・西脇順三郎、瀧口修造らがシュルレアリスム詩のアンソロジー 「馥郁タル火夫ヨ」を刊行 ・シュルレアリスム専門雑誌『薔薇・魔術・学説』を創刊 |
1929 | 二科会で東郷青児、阿部金剛、古賀春江らが作品を発表 |
1931 | マックス・エルンストに影響を受けた福沢一郎が本格的に導入 |
1933 | 「巴里新興美術展覧会」を開催 京都巡回展(岡崎勧業館)が京都で最初のまとまった展覧会 |
1966 | アンドレ・ブルトンが死去 |
2024 | 「シュルレアリスム宣言」から100年 |
巡回展
感想「『シュルレアリスム宣言』100年」
シュルレアリスムと言うとダリが有名ですが、日本人だと誰かな。
今回の展示を見ると東郷青児、岡本太郎辺りが知名度は高そう。
美術館を色々見てきた印象としては吉原治良、浜田知明、靉光、瑛九の名は見覚えがある。
写真家の植田正治の作品もありました。
言われてみれば、シュルレアリスムに含まれるか。
ダリやマグリットは凄い人気があるけど、一般的には知られている作家が少ないのは、作品の内容がわからないからかな。
まぁ、内容がわからない点は現代芸術も同じ。
何となく雰囲気で好きだと思うものがあればそれでいい。
昔、回顧展で見た麻田浩(1931-1997)の作品が印象的でしたが、今回の展覧会は戦後までだったので、時代が違いました。
西脇順三郎、他|馥郁タル火夫ヨ
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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D7 | 西脇順三郎 三浦孝之助 中村喜久夫 佐藤朔 滝口修造 上田保 | 馥郁タル火夫ヨ | 1927 | – | 序章 |
シュルレアリスムの詩集です。
シュルレアリスムは絵しか知らなかったのですが、最初は詩だったんですね。
序文には下記の言葉が書かれています。
崇高なる芸術の形態は
馥郁タル火夫ヨ
すべて超現実主義である
東郷青児|超現実派の散歩/阿部金剛|Rien No.1
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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1 | 東郷青児 | 超現実派の散歩 | 1929 | 通期 | 第1章 |
2 | 阿部金剛 | Rien No.1 | 1929 | 通期 | 第1章 |
第16回二科展で発表された日本におけるシュルレアリスムの草分け的作品です。
古賀春江の代表作「海」もこの時に出展されました。
福沢一郎|他人の恋【落書】
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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10 | 福沢一郎 | 他人の恋 | 1930 | 通期 | 第1章 |
色々な要素があって、内容は正直よくわかりません。
構図はエル・グレコのような劇的な雰囲気も感じる。
吉原治良|縄をまとう男
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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12 | 吉原治良 | 縄をまとう男 | 1931-33 | 通期 | 第2章 |
見たことあると思ったら、大阪中之島美術館の所蔵品でした。
植田正治|コンポジション【落書】
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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92 | 植田正治 | コンポジション | 1937 | 通期 | 第5章 |
帽子が風に飛んだ瞬間を撮ったような写真。
砂に埋もれた椅子や壊れた傘などが意図的に配置されており、独特な世界観です。
撮影場所は鳥取砂丘かな?
写真はあまり見ないのですが、植田正治はテレビで見てから好きな写真家です。
以前、鳥取県にある美術館にも行きました。
岡本太郎|優愁
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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102 | 岡本太郎 | 優愁 | 1947 | 通期 | 第6章 |
「岡本太郎」の名前だけで良い作品と言いたくなる所ですが、自分には難しい作品でした。
古沢岩美|女幻
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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103 | 古沢岩美 | 女幻 | 1947 | 通期 | 第6章 |
岡田三郎助に師事した洋画家。
言われて見れば、写実的な女性の顔は岡田の女性像に通ずる所もある気がします。
感想「シュルレアリスムと京都」
「『シュルレアリスム宣言』100年」でも展示されている作家さんの他の作品が見れます。
4階と2階で離れていたので、できれば連続で見たかったかな。
共通で展示されている作家 | 「シュルレアリスムと京都」 のみ展示されている作家 |
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伊藤久三郎 今井憲一 北脇昇 小牧源太郎 松崎政雄 | 井澤元一 |
感想「日本考古学の鼻祖 藤貞幹展」
江戸時代の学者である藤貞幹(1732-1797)の資料展示です。
全く知りませんでしたが、幅広く研究されていた方のようです。
徳川光圀(水戸黄門)(1628-1701)が造り始めたことでも知られる歴史書「大日本史」の編纂にも関わったようです。
光圀とは時代が違うので、会ってはいません。
ちなみに、ネットで調べていると藤貞幹は偽造、偽作の説も出ているので、鵜呑みにはしない方が良さそうです。
藤貞幹に限らず、自分に都合よく書くのは世の常ですからね。
藤貞幹|好古小録/好古日録【落書】
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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13 | 藤貞幹 | 好古小録 乾・坤 | 1795 | – | |
14 | 藤貞幹 | 好古日録 本・末 | 1797 | – |
有名な金印を最初に記録したのが「好古日録」です。
形もとぐろを巻いたような所も描かれています。
正倉院の校倉造りの防湿効果に注目したのは藤貞幹らしいです。
校木の凹凸とした形が防湿機能を高めていたという説を提唱していたようですが、残念ながら現在では形は関係なく、木が持っている普通の調湿機能と変わらないと考えられています。
高床の正倉院と、脚のある唐櫃で保管していたことが良かったようです。
下記のように記載されていました。
「烈日ニアレトモ土蒸ノ気ナク マタ雨に逢テ湿気ヲ含マズ」
まるで実際に中で体感したかのような言い方ですが、実際に仲間で入ったのだろうか?
勅封だから流石に想像かな。
金印は去年、福岡市博物館で実物を見たので記憶に新しい。
感想「Kyoto Art for Tomorrow 2024/特別展示「まれびと」」
現代芸術なので、内容はよくわからない作品が多かったです。
色んな作家の作品が見れるので、見ていて刺激にはなります。
特別展示「まれびと」は前年度に最優秀賞受賞者の山本真澄氏の特別展です。
ゲスト作家とあるが、チラシに紹介されている絵が表も裏も山本氏の絵だけだったので、チラシの表くらいは今年度の作家の作品の方が良かったとは思う。
北村侑紀佳|あなたの言葉で教えて
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 北村侑紀佳 | あなたの言葉で教えて | 2023 | ー | ー |
切り絵です。
細かい輪が沢山連なったように造られた壁掛けのオブジェのようなものです。
細かすぎて見ているだけで眩暈がしそう。
八木佑介|準工業地帯
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 八木佑介 | 準工業地帯 | 2023 | ー | ー |
モノトーンで描かれた街の風景画です。
人もいなくて時が止まったかのような静かな風景です。
山本真澄|虹霓
No | 作家名 | 作品名 | 年 | 期間 | 備考 |
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– | 山本真澄 | 虹霓シリーズ | 2023 | ー | 特別展示「まれびと」 |
色彩豊かで綺麗な絵でした。
子供が登場する絵が多かったです。
目が大人っぽくて少し不気味な感じの絵もあります。
山本氏は本の装丁もされていまるようで、一緒に本も展示されてました。
以上
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